海外エコノミストも首を傾げる矛盾した論理

現在、高市早苗政権が掲げるマクロ経済マネジメントの仕組みには、非常に不明確な部分が多く、不安を感じざるをえません。「責任ある積極財政」という言葉が先行し、「日本列島を強く豊かにする」というスローガンが語られています。確かに、過去の停滞から抜け出し、国を豊かにしなければならないという方向性は国民の願いでしょう。しかし、そのために具体的にどのような政策をとるのか、中身が見えてこないのです。

竹中平蔵 Heizo Takenaka 経済学者、慶應義塾大学名誉教授。1951年、和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒業。博士(経済学)。小泉内閣で経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、総務大臣を歴任。
竹中平蔵 Heizo Takenaka
経済学者、慶應義塾大学名誉教授。1951年、和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒業。博士(経済学)。小泉内閣で経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、総務大臣を歴任。

7月21日、高市政権下で初めての「骨太の方針」が示されましたが、その内容はなかなか巧妙な玉虫色に書かれており、実体がよく見えません。具体的にどの程度の規模の歳出を行い、どれほどの国債を新規に発行するのか、マクロのマネジメントの方針が明確ではないというのが第一の懸念です。

そもそも、私は「積極財政」という言葉そのものに強い疑問を持っています。現在、財政拡大を主張する政治家たちの背後には、「これまでの財務省がケチケチと緊縮財政をやってきたから日本経済は駄目になったのだ」というネットを中心とした世論があります。しかし、これは事実と異なります。

(構成=鈴木聖也 撮影=門間新弥 写真=時事通信フォト)