決裁者の意思決定を促す1枚は、どこが違うのか。プレゼンの達人が、数字に強い人だけが知っている「4つの鉄則」を明かす。

「数字に強い人」と「数字に弱い人」の違いは、プレゼンのスライドを見ればひと目でわかります。

数字に弱い人の作ったスライドは、データやグラフを出すこと自体が目的化しがちです。「あとは皆さんが見て判断してください」と丸投げしているようなもので、プレゼンターとしての意図が見えないのです。

一方、数字に強い人は、資料を作る前に、このデータから何が言えるのか、それによって何を伝えたいのかという結論を持っています。

プレゼン資料とは、限られた時間内で決裁者の意思決定につなげるためのもの。したがって、一枚のスライドは20秒以内で理解できるくらいが理想です。それ以上の時間がかかると、聞き手の集中力は途切れてしまいます。わかりやすいプレゼン資料の条件とは、ただビジュアル的に洗練されているだけでなく、「受け取り手の解釈コスト」を最小化していること。そのためのルールを一つずつ見ていきましょう。

Point① 一枚のスライドにメイン数字は一つ

わかりにくいプレゼンと聞いて私がまず思い浮かべるのは、売り上げ、新規リード数、商談件数、受注件数、顧客単価など、考えうる限りのグラフを一枚に詰め込んだ資料です。これでは数字が多すぎて、どこに目を向ければよいのかわかりません。売り上げの伸びを評価してほしいのか、顧客単価の低下を問題視してほしいのか、判断に困ってしまいます。

しかし数字に強い人は、一枚のスライドで訴えるメッセージを一つに絞って、それを伝えるための数字を厳選します。そのうえで、キーメッセージをテキストでわかりやすく冒頭に示すのです。もちろん、細かい数字を捨てる必要はありません。詳細はアペンディクス(付録・補遺)に回し、聞かれたら出せるようにしておけばいいのです。

必要な情報量は相手によっても変わります。実務担当者や直属の上司には数字をチェックする役割があるため、ある程度細かいデータも必要です。一方、経営会議のようにジャッジする立場の人に、同じ粒度で数字を見せてしまうと、相手も一つ一つ確認したくなるので、それだけ意思決定が遅くなってしまいます。

Point② 比較のものさしを持つ

「問い合わせ数320件」「クリック率2.8%」「獲得単価5625円」――キャンペーンの結果報告などで、こうした数値だけを並べた資料を見かけることがあります。しかし、これではキャンペーンが成功したのか失敗したのかわかりません。

数字とは比較して初めて意味を持つものです。例えば「前回比」を物差しにすれば、「問い合わせ数が128%増加」「獲得単価が25%改善」などと評価でき、次に何を続け、何を変えるべきかまで議論できます。

数字に強い人とは、こうした比較の軸を複数持っています。決裁者が競合との位置関係を気にしているなら「他社比較」を出し、予算達成を重視しているなら「目標比」を出すなど、説得したい相手の判断基準に合った使い分けをしているのです。

(構成=本誌編集部)