そこまで欲しくもないのに、「お買い得」と聞いた途端欲しくなるのはなぜか。行動経済学を通して、「不合理な選択」の正体に迫る。

「お得」――。それは誰もがつい惑わされる、魅力的な言葉です。しかし、お得だからと飛びついた買い物が、「よくない買い物」になっていることは少なくありません。

よくない買い物とは、買うこと、手に入れることそのものが目的になってしまい、本当に欲しい商品、必要な商品を買っていない買い物だと私は考えます。

これは買い手から見た話ですが、売り手にとってもよくない買い物であるかもしれません。商品の価値を伝えて理解してもらったうえで買ってもらうのではなく、「お得」を謳ってとにかく買ってもらえればいいという売り方をしていることがあります。その場では儲かっても、商品への評価が伴わなければブランドの毀損やリピーターの喪失につながり、長続きしません。買い手も売り手も、よくない買い物は本来大事にすべき「商品の価値」を見失っている点が共通しているといえます。

(構成=増田忠英)