JAとはどのような組織か。元農水官僚で武蔵野大学国際総合研究所研究主幹の山下一仁さんは「本来、農協は安く肥料を買うために組合員である農家が作った組織だった。しかし今や、独占的な地位を利用して肥料や機械などを高く売りつけ、組合員農家を苦しめている。もはや協同組合とは言えず、その存在意味が問われている」という――。
東京・大手町のJAビル=2023年11月14日午後
写真提供=共同通信社
東京・大手町のJAビル=2023年11月14日午後

「肥料8割」圧倒的なシェアを持つJA

前回記事でJA農協によるコメ価格の吊り上げは、独占禁止法における「不当に対価を引上げる」行為に該当している可能性について解説した。本稿では、JA農協が「組合員のために活動する」という協同組合原則にも反しているという事実について紹介したい。コメ価格を吊り上げて消費者を苦しめているだけでなく、主人である組合員の農家すらも苦しめているのだ。

JAが露骨なコメ価格の吊り上げを行っても、独占禁止法が適用されないのは、独占禁止法第22条があるからだ。

第22条 この法律の規定は、次の各号に掲げる要件を備え、かつ、法律の規定に基づいて設立された組合(組合の連合会を含む。)の行為には、これを適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。

1・小規模の事業者又は消費者の相互扶助を目的とすること。
2・任意に設立され、かつ、組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。
3・各組合員が平等の議決権を有すること。
4・組合員に対して利益分配を行う場合には、その限度が法令又は定款に定められていること。

確かに小さな農家が集まって共同して生産したり、販売したりしたら、形式上は独占禁止法違反を問われてしまうので、協同組合を作ってこれを通じて卸売業者に販売すれば、独占禁止法に違反しないようにしようというのは理解できる。

しかし、JA農協は“市場における有力な事業者”である以上に、コメで5割、肥料で8割、機械や農薬で6割という圧倒的な市場シェアを持っている。

肥料、農薬等の農業生産資材の市場では、三菱商事や三井物産などの大手商社もJA全農の市場支配力には遠く及ばない。商人系の業者から高い肥料などを買わされていた小規模農家が共同して安く肥料などを購入しようとして作ったのが農協(戦前は産業組合)だったのに、JA農協はアメリカの2倍もする肥料、農薬などを農家に売りつけている。