困るのはJAだけ
しかし、コメの生産総量を抑制して米価を高く維持したいとするJA農協、農林族議員やこれに呼応する農水省内の改革反対の役人が、廃止するはずだった生産目標数量の配分を事実上維持してしまった。農水省内には、国民への食料の安定供給のためには減反をやめるべきだと考える人たちと既得権に擦り寄ろうとする人たちがいる。残念だが、これだけ米価高騰を非難されても、省内では後者の方が優勢のようだ。彼ら既得権者にとって生産目標数量の配分廃止は好ましいものではない。これは2007年いったん廃止されたが、米価が下がったのですぐに撤回された。再び2018年廃止されたことになったが、国による事実上の配分は継続している。そればかりではなく、都道府県から生産者までの生産目標数量の配分は建前としても継続されている。
しかし、生産者の自由で需要に応じた生産という観点からは、都道府県が農家に生産目標数量を配分することも望ましいことではない。これでは都道府県段階で合成の誤謬が発生してしまう。
ただし、サミュエルソンの事例と異なるのは、生産者が自由に生産して生産総量が増加し米価が下がることは国民経済的に良いことである。これが良くないと考えるのは、JA農協、農林族議員、農水省内の改革反対の役人という農政トライアングルの既得権者である。彼らは、高米価政策で貧しい消費者からの搾取を続けている。日本農業法人協会の人や秋田県には、存分に“需要に応じた生産”に励んでもらいたい。
米価が下がっても案ずることはない。直接支払いという政策を講じれば農業で生計を立てている主業農家は困らない。アメリカやEUだけでなく、中国もかなり前に価格支持から直接支払いに転換している。農水省はいつまで減反を続けるのだろうか?


