ホルムズ海峡封鎖により、原油だけでなくさまざまな生活用品に影響が出るとされている。個人でできる対策はあるのか。備え・防災アドバイザーの高荷智也さんは「原油を精製して作られるナフサに現代の日本社会は依存しており、影響が及ぶ範囲は非常に広い。優先順位をつけてできる範囲で備蓄しておくべき」という――。
ホルムズ海峡封鎖による備蓄は難易度が高い
ホルムズ海峡封鎖が長期化した場合、私たちの生活は、思っている以上に静かに、そして確実に崩れていく可能性がある。原因は、燃料ではなくナフサだ。日用品や医薬品、食品の包装に至るまで、現代社会はナフサに依存している。
しかし、この危機は何をどれだけ備えればよいのかが分からないという厄介な性質を持つ。本稿では、「ナフサ危機」を回避するための考え方と対策を整理する。
ホルムズ海峡封鎖に端を発する原油危機が、先行きの見えない状況となっている。2026年4月以降、連日のように石油燃料や石油製品の不足を報じる報道がなされるようになり、自分もなにか対策をすべきだろうかと考える人が、増加し始めているようだ。
ところが、家庭の防災、あるいは企業のBCP(事業継続計画)の視点で、今回の原油危機への備えを行おうとすると、いくつかの課題に直面する。ひとつはリスクが流動的であるという点、もうひとつは対策の難易度が高すぎるという点である。
防災で重要なことは、まず備えるべき対象を明らかにすることである。しかしホルムズ海峡封鎖による原油危機は現在進行系のリスクであり、停戦が報じられたと思ったら翌日には撤回といった不透明な状況が続くなど、今後の見通しを立てることが極めて難しい。
リスクが未確定の状態で備蓄品を買い集めたり、事業継続に必要な資機材の在庫を増やしたりしても、その量では足りなかったという結果を迎えたり、逆に「危機」が幸運にも早期に解消された場合、備蓄品が無駄になってしまうため、身動きが取れないのが現状である。

