原油危機で不足するもの
まず、ホルムズ海峡封鎖による原油危機で何が不足するのかを整理する。ポイントは次の4点である。
①「ナフサ」を原料とする石油化学製品全般
②「原油」を原料とする石油燃料や石油製品全般
③世界シェアに占める中東割合の多い製品に依存するもの
④容器包装や燃料不足により生じる間接的な生産・流通への影響
分かりやすいのは「①『ナフサ』を原料とする石油化学製品全般」の製品供給不安である。各種の生活用品や衛生用品、家電や電子機器、各種の衣類や化学繊維、自動車や輸送資材、建材やインフラ資材、各種の医薬品など、生活に欠かせない製品を製造するためには、ポリエチレン、樹脂、合成ゴム、合成繊維といった素材が不可欠である。
これらの素材は、エチレン、プロピレン、ブタジエンといった基礎原料を加工して得られるのだが、日本においてはこれらの基礎原料のほぼ全てを、ナフサを分解することで得ている。平時の日本では、毎日約10万キロリットルのナフサを分解しているが、このうち3割を国内の製油所で原油から精製し、残りは直接輸入をしている。
あらゆるモノの生産に影響が生じる
問題なのは、原油だけでなくナフサ輸入の大部分もホルムズ海峡経由であったことである。
さらに、ある程度の備蓄を保有している原油と異なり、加工品であるナフサの国内在庫は少なく、これが早々に尽きようとしている。ナフサの供給量が減ると、文字通り生活用品からインフラ資材まで、あらゆるモノの生産に影響が生じるのである。
次に「②『原油』を原料とする石油燃料や石油製品全般」についても、危機が長期化するにつれ供給不安に陥る可能性がある。
7割を輸入しているナフサと異なり、ガソリン、軽油、灯油、重油などの石油燃料は、国内需要のほぼ全てを国内の製油所で原油から精製してまかなっており、原油の在庫がある限りはある程度の供給が確保される。

