ガソリンそのものがなくなれば大混乱

しかし、原油危機が長期化し、かつホルムズ海峡経由にかわる代替調達が上手く進まない場合、原油の在庫が減るにしたがい石油燃料の供給も絞られる可能性がある。

現時点では、ガソリンに補助金を出し価格の上昇を防いでいるが、そもそもガソリンそのものがなくなる状況まで危機が進んだ場合、大きな混乱が生じることは想像に難くない。

さらに、「③世界シェアに占める中東割合の多い製品に依存するもの」として、特にアルミニウム・ヘリウム・尿素といった、世界に占める中東のシェアが高い製品群も、ホルムズ海峡封鎖により全世界への輸出量が著しく減少している。これらの製品に関連するサプライチェーンへの影響も、危機が長期化すれば大きくなることが想定される。危機は原油だけではないのである。

ガソリンスタンド
写真=iStock.com/bee32
ガソリンそのものがなくなれば大混乱(※写真はイメージです)

米はあっても米袋がなくなる

そして最後に「④容器包装や燃料不足により生じる間接的な生産・流通への影響(間接影響)」が次第に無視できなくなる。

食料品や紙製品などの「非石油製品」は、本来ナフサ不足の影響を受けない。しかし、あらゆる製品を包んでいる包装資材、ラベル、印刷用のインクやトナー、輸送用の資材などの大部分は、ナフサ由来のため、ナフサ不足の影響で生産が止まる可能性がある。

米はあっても米袋がなくなる、お茶があってもペットボトルがなくなる、といった事態が想定されるのだ。

その上、危機が長期化すると「燃料」が欠乏しトラック輸送に影響が生じる。

輸送は社会を支える血流そのものであり、これが途絶えることは文字通り全ての産業・流通が停止することと同義である。

野菜の収穫ができても運べなければ、私たちの食卓に並べることはできないし、そもそも燃料がなければ農業・漁業・畜産も成立しないのである。

便利で快適な暮らしを支えるためには、原油やナフサを毎日運び続けることが重要だ。しかし2026年4月以降、毎日入港し続けていたタンカーの流れが、戦後初めて途絶えた。ホルムズ海峡が開放されても、そこから日本までタンカーが到着するまでには数週間の期間が必要である。私たちの日常は、今ギリギリのところで生かされている。