大阪・関西万博の終焉とともに消えるはずだった「ミャクミャク」の勢いが止まらない。当初は「どう見てもバケモノ」と酷評されながら、グッズの年間売り上げは1291億円に達し、今年3月で終了予定だったライセンス契約は2年の延長を勝ち取った。ゆるキャラの消滅が相次ぐ“冬の時代”に、なぜ生き残れたのか。妻が大のミャクミャクファンというフリーライターの宮武和多哉さんは“3つの理由”を指摘する――。
筆者の妻所有のミャクミャクグッズ。ほんの一部だ
筆者撮影
筆者の妻所有のミャクミャクグッズ。ほんの一部だ

「気持ち悪い」と言われた公式キャラの逆転劇

※最初にお断り申し上げたい。一般的なゆるキャラが「独立した生命体」「妖精」といった設定であることに疑いはないが、この記事では「中に人が入っている」「着ぐるみ」といった表現を使用する。説明手段として苦渋の選択肢であることを、ご理解いただきたい。

3万3197件の公募から「ミャクミャク」が選ばれ、お披露目されたのは万博初日から1000日前のこと。赤色部分が細胞、青色部分が水で形成され、目が合計6つあるというルックスに「どう見てもバケモノ」「ちょっと怖い」との声が上がり、万博ともどもネガティブに語られがちであった。

ところが、状況はこのあとガラッと変わる。

2025年4月の万博開幕後に、会場東門・西門のミャクミャク像が撮影スポットとして拡散され、“着ぐるみ”ミャクミャクもコミカルな動きでX・Tiltokを中心にSNS人気が沸騰。ハイタッチ会が数時間待ち(ヘルスケアパビリオンにて。筆者体験)という、トップクラスの人気を誇るゆるキャラに成長してしまったのだ。

グッズ販売も会場だけでなく、JR大阪駅や阪神・大丸・近鉄などの各百貨店のオフィシャルストアに人々が押し掛けた。

百貨店の業績まで押し上げたミャクミャク特需

特に百貨店「あべのハルカス近鉄本店」では、中国からのインバウンド観光客激減によって免税品の売り上げが3割減少していたにもかかわらず、ミャクミャク関連の“爆売れ”によって、全体売り上げが「前期比で9.0%増・純利益は6.4%増」(2026年2月期)と、逆に業績を伸ばしてしまった……ミャクミャクグッズの売れ方が、いかに異次元のものであったかが、お判りいただけるだろうか?

大屋根リングから見た万博会場
筆者撮影
大屋根リングから見た万博会場

想定を超えるミャクミャク人気で、グッズ販売の高額転売が相次ぐほど売れに売れて、グッズだけで年間約1600億円を売り上げる「くまモン」に迫る「年間1291億円」を記録。うち最大10%のライセンス料が積もりに積もって、63億円という利益を万博協会にもたらした。

また、他館の撤退の穴埋めで開設された「ミャクミャクハウス」来訪や、会場内オフィシャルストア内の「ミャクミャクぬいぐるみくじ」が主目的で会場に足を運ぶ人々も多く、万博会期の後半で集客力が上がる要因ともなった。

関係者にここまで莫大な利益をもたらしたミャクミャクを、2026年3月で終了させるという選択肢はない。だからこそ、一律終了するはずであったライセンス契約の「2年延長」(2028年3月まで)が、土壇場の2026年3月16日に決定したのだ。