本当は万博終了で消えるはずだった
そもそも、ミャクミャクはもっと早期に消える予定であった。万博最終日(2025年10月13日)にライセンス契約を終了したうえで、各業者は期間内に製造したグッズだけを、売り切って終了する筈だった。
しかし、万博そのものの後半の盛り上がりとともに、ミャクミャクグッズの売れ行きは加速するばかり。入店待ち・レジ待ちだけでパビリオン並みに待つような事態が続き、万博会場内ですらミャクミャクグッズをまともに購入できない有様であった。この時点で販売業者から苦情と契約延長の要請が相次いだこともあり、2026年3月まで半年だけ契約期限を延長したという経緯がある。
あと半年はグッズを作ってもらうとして、さすがに年をまたぐと忘れられるだろう……万博協会がそう判断を下すのは当然。しかし実際には、期間中とは比べ物にならないほどに、ミャクミャク人気がヒートアップした。万博はとうに終わったのに、イメージキャラクターであるミャクミャクグッズは爆売れ。なぜだろうか?
ここからは、先に述べた通り「ミャクミャクに数十万円を注ぎ込んだ」という筆者の妻とも話しながら、万博と関係なくキャラクタービジネスとして優秀であった「ミャクミャク」の魅力・強みを窺っていこう。
「何にでもなれる設定」がグッズ展開を加速させた
理由① 豊富なカラバリ・ポーズを可能にした「細胞と水」設定
ミャクミャクグッズが売れる最大の理由は「ミャクミャクが可愛い」。それ以外で、グッズ展開が成功した理由は「形態・色・種類のバリエーションの豊富さ」にあるだろう。
実は、グッズ展開において、他のゆるキャラにはない「公式設定」が優位に働いている。通常のゆるキャラは決まったポーズ・カラー構成でグッズを発売するが、ミャクミャクは「細胞と水で構成」「なりたい姿になれる」という設定がある。
だから、変態=スタイルそのものの変化、変色=カラーバリエーションなどが容易で、世界観を保ったまま豊富なグッズ展開が可能なのだ。
フォルムひとつ取っても、低身長・短駆で筒状の「でぶミャク」、胴体がない「顔だけ」などのバージョンがあり、リング状の細胞が“顔ハメ”状態で「ラブブ」「リラックマ」などの他キャラと融合しているものも。
カラーも、万博終了後に人気が爆発した「黒ミャク」や緑・黄色・桜柄などがある。これらが絶え間なく期間限定・数量限定で小出しにされ続けるため、飽きられずに話題をさらい続けることに成功したのだ。
「ご都合主義の設定」と言ってしまえばそれまでだが、現在の「ぬい活」(ぬいぐるみを持ち歩いたり、写真を撮る活動)のトレンドである「もちぬい」(モチモチしたぬいぐるみ。抱きしめたくなるから人気)を種類豊富に揃えるなど、ファンの身近に置いてもらうための工夫は欠かしていない。
だからこそ、お目当て商品のために「ぬい服」(ぬいぐるみに着せる服)を先に準備して、寝袋持参でショップの前に並ぶファンもいるほどに、ミャクミャクは支持されているのだ。




