さらに、万博開幕前から関西のローカル番組出演が多かったこともあり、吉本新喜劇のメンバーや、灰汁の強い関西の芸人と絡めるだけのトーク力・アドリブ力を持つ。(ゆるキャラなのに、トークショーやラジオ出演をこなすのはミャクミャクくらいだろう)
“何にでもなれる”設定の有利さはあるが、ミャクミャクは持ち前の「操演力」を活かし、節目ごとに「トーク」「ダンス」「歌」「黒ミャク登場」と小出しに特技を解禁することでファンを飽きさせなかった。だからこそ、継続性が認められて「2年延長」を勝ち獲れたのだ。
なお、4月からの体制変更とともにミャクミャクの登場範囲を増やすべく、「イベント出演は1日26万円(関西・関東の場合。スタッフの手配料込み)」「冷暖房完備・プライベートを確保できる控室確保必須」という出演要綱が公開されている。若干夢のない文言ではあるが、スタッフ・「操演者」(中の人)に、しっかりミャクミャクを続けてもらうために必要なルールだ。
くまモンが証明した「動けるゆるキャラ」の強さ
こうして見るとミャクミャクは、ゆるキャラビジネスにおける「着ぐるみショーで知名度アップ、グッズの売り上げで運営費用を回す」という法則を、見事にクリアしていることになる。ゆるキャラに不可欠な「操演力アップ・場持ちスキル向上」は、ゆるキャラ界の草分けである「くまモン」がたどった道だ。
2011年の九州新幹線延伸を盛り上げるべく誕生したくまモンは、行動を共にする“おねえさん”と激しく踊る「くまもとサプライズ!」(テーマソング)、大阪への長期出張によって身につけた、恐ろしいまでのアドリブ力を活かした交流パート(中の人は喋らないため、おねえさんに突っ込んでもらう)で、ダンス・アドリブともに凄まじく見ごたえがあるステージ出演をこなしていた。
そんなくまモンのショーを誘致できる条件は「熊本県のPRに繋がれば出演無料」(実費のみ)。全国の物産品展やデパートのイベントは、ことごとく熊本県メインで開催されるようになり、熊本県が拠出した「年間2億円」という「関連商品の年間売上・約1500億円」という間接効果を得ることができた。
なおくまモンの場合は、運よく生じた「ゆるキャラブーム」に乗って、「ゆるキャラグランプリ」第1回優勝という幸運を掴むことができた。かつ、テレビ出演で見せた「バンジージャンプ」「(着ぐるみのままで)温泉に入る」などの暴挙の様子がSNSで爆発的な“バズり”を呼び、予算をかけずに世界レベルでの拡散に成功した。
この珍事も、「同じ筋書きがない」と言われるほどにステージ・イベント出演をこなしてきたくまモン、いや「熊本県庁+くまモン陣営」が生んだ奇跡と言えるだろう。

