ファンが勝手に世界観を広げていった
理由② 二次創作界隈に優しい
もうひとつ、ミャクミャクを推してきた妻によると、特筆すべきは、ファンを巻き込んだ「二次創作への寛容さ」にあったという。
通常のキャラクターやゆるキャラは、決められた設定や行動やイメージを避けるべく、イラスト投稿や自由な創作を制限されることもある。特に国家イベントだと作り手が委縮する場合も多く、東京オリンピックのイメージキャラクター「ミライトワ」「ソメイティ」のように、創作も人気も広がらないままに存在が消えたような例を思い出す。
一方でミャクミャクは、デザイナー・山下浩平さんやクリエイティブディレクター・引地耕太さんが二次創作に寛容な姿勢を示したこともあり、SNSを中心にかなり自由な創作の題材となった。
通常のゆるキャラ界隈だと削除や注意の対象となる「自作ぬいぐるみ・グッズ作成」「度を超えたイラスト投稿」でも注意されず、ちょっと尖ったpixiv(画像投稿サイト)投稿作品ですら野放し状態。なかには「バイキングで人の皿に無断でアホほど盛ってきそう」などという性格設定までなされる時もあったほどだ。
こういった二次創作は、時としてキャラクターに親しみ・奥行きを与える役割を果たす。いわば、ミャクミャクはネタにし放題・イジり放題という環境の中で、ファンによって寄ってたかって世界観が膨らんでいったもの。だからこそ「みんなが作るミャクミャク」として、雪だるま式にファンを取り込んでいったのだ。
そんな自由な環境の中から、新キャラクター「こみゃく」が生まれたのも印象深い。ミャクミャクの目の部分が独立したかのように見えるパーツは、もともと「ID」という仮称で呼ばれていたのが、なぜか自然発生的に「こみゃく」と呼ばれ始めた。
公的な場所ではピクトグラムなどで活用されるだけでなく、こちらもグッズの題材としてしっかり売れ、利益をもたらした。それにしても、万博という一大イベントにもかかわらず、臆することなく愛称を付けて遊んでしまうあたり、関西ならではだ。
「場持ちさせるスキル」がずば抜けている
理由③ 着ぐるみなのに踊れて喋れる“中の技術”
よく「ゆるキャラ」と称されている着ぐるみは、“ずんぐり・むっくり”体系である場合も多く、緩い可愛らしさでファンを魅了する。しかし妻によると、ミャクミャクは、ステージやテレビ出演での「操演力」「(着ぐるみとして)場持ちさせるスキル」がずば抜けていることも武器になっているという。
なかでも、万博最終日に会場で見せたダンス集団「アバンギャルディ」との激しいダンスは、各社ともトップ扱いで報じられた。一糸乱れず踊るシンクロダンスを、お腹もぽってりしたミャクミャクが、着ぐるみのまま一緒に踊る……万博最終日まで隠し持っていたダンススキルを公開したことで出演依頼が相次ぎ、気が付くと年末にはHey! Say! JUMP・Kis-My-Ft2のメンバーなどと踊るようになり、「天童よしみ・CANDY TUNEとともに紅白歌合戦に出演」という快挙まで勝ち取った。



