台湾有事が発生した場合、アメリカはどのような立場を取るのか。米保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」のスティーブ・イエーツさんは「現状の政策では台湾の抑止力を強化したり、危機時に助けたりすることができない」という。『トランプ・高市同盟で日米は繁栄する』(PHP新書)より、国際政治アナリストの渡瀬裕哉さんとの対談を紹介する——。
地図上の台湾・台北に立てられたピン
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安倍晋三が語った「普通の国」というビジョン

【渡瀬】日米関係と台湾・米国関係について、どのような見解をお持ちですか?

【イエーツ】どちらもいくつかの重要な点で進行中の課題だと思います。私が安倍晋三と知り合ったのは、彼が小泉政権で内閣官房副長官を務めていたときで、当時、私はホワイトハウスで働いていました。

安倍晋三は、国家安全保障会議や国務省、その他の機関で多くの人々に知られていました。彼は私たちが小泉政権と国家安全保障について議論するための窓口役でした。そのやり取りを通じて、私たちは日本の未来に関する異なるビジョンを感じ取るようになりました。日本がジュニアパートナーの地位から脱却するビジョンです。そして、安倍が首相を務めた2期の間、そのビジョンはさらに発展したと思います。

これは、西側の分析用語では「普通の国」というスローガンに簡素化されがちです。経済的な要素を含み、日本から東南アジアを経てインドまで広がる「自由と繁栄の弧」というビジョンを包含していました。これがのちに「インド太平洋地域」と呼ばれるようになったものですが、安倍晋三はそれ以前にこの「自由と繁栄の弧」について言及していました。

核保有の議論は続けるべき

【イエーツ】私は安倍晋三のビジョンに深く感動し、強く共感しました。それは、アメリカ側の利益という点から見ても私が長年望んでいたことでした。しかし日本通や外交政策の専門家たちの多くは、それが実現不可能だと繰り返しいいました。また、日本の政治家の一部にも、それは行き過ぎだと主張する人がいました。彼らは現状を維持したい人々でした。

私は「普通の国」プロジェクトが重要な成果を挙げたものの、未完成であると考えています。私の希望は、日本国内の他の政党を含む勢力が集まって、できれば自民党内の改革派が「普通の国日本」のビジョンを維持し、そのプロセスを完成させることです。

それでこそ、米国にとって真に価値ある、長期的な信頼できるパートナーになると思うのです。逆に、米国は日本にとって長期的な確固とした同盟国となるでしょう。世界の中でも特に不安定な地域において土台となる同盟国です。

私はこの同盟がまだ進行中の作業であり、その段階に達しつつある段階であると考えています。経費の分担、製造の分担、人員と軍事物資の分担、最終的には、核の傘あるいは核保有。これらの問題は、日本の有権者が今、決定する準備や関心を持っていないかもしれません。しかし、米国との強固な同盟についての議論をする上で視野に入れるべき問題です。

また、韓国や他の国々と共に議論されるべき問題かもしれません。しかしそれは、日本が戦後憲法の下で永久に甘んじるのではなく、現代的で民主的な日本の価値観を反映した独自の憲法を持って対処すべき問題です。