2月の衆院選で大勝した高市自民は、今後強く成長する組織になれるのか。経営組織論の専門家である舟津昌平氏は「組織論の代表的な言説に『ある期に成長を達成した組織は、その次の期の成長を減退させる』という『ペンローズ効果』がある。高市自民がこの定説を覆すためにやるべきことはたったひとつだ」という――。

「推し活選挙」ってどうなんだ

2月の衆議院選挙で高市自民党が大勝した。きわめてイレギュラーな時期での解散に始まり、高市首相の討論番組欠席騒動などがありながら、結果はあまりにも鮮烈だった。自民党の大勝というより最大野党であった中道改革連合の大敗ではないかという見方もある。

なぜこのような結果になったかの分析が多々行われるなか、勝ち負けの原因もさることながら、今後どうなっていくかを考えることもまた重要であろう。

今回の選挙で、過去にはあまり見られなかったフレーズが躍った。「推し活選挙」である。

ハート型を作る人の手
写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
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「まだ投票がお済みでない全国のサナエファンのかたは、投票用紙に高市早苗と書きましょう。こういう呼びかけがあって思わず笑った。昨今の政治が『推し活』になっていることを象徴している。」

と田中優子氏(法政大学名誉教授)は某新聞の社説で書いている。筆者はこの「サナエファン」と呼称していた原典は見つけられなかったのだが、Xに「【公認】チームサナエが日本を変える」という名を冠したアカウントは発見した。フォロワー16万3000人となかなかの影響力だ。

カタカナ呼びは親しみやすさを喚起すると同時に、軽薄な人気取りのようにも確かに思える。

異常な伸びを示したサナエのYouTube

似た文脈として、高市氏のYouTube動画も話題になった。自民党公式チャンネルから配信された「【高市総裁メッセージ】日本列島を、強く豊かに。」と題された動画は、公開当初から異常な再生数の伸びを発揮。2月24日時点で実に1億6000万回の再生数に至っている。

あるインフルエンサーは、このくらい動画を伸ばすためには広告費が2億~7億円は必要なはずだとも指摘する。大手広告代理店がサポートしているはずだ、とも。

筆者はこの元動画を確認するために自民党や高市氏の公式チャンネルを確認したのだが、動画の数が多いのに驚いた。「バズるためにはまず投稿数を増やせ」という鉄則を守っている。かつ各動画、1万程度は再生されている。いわゆるショート動画も多い。

「政治活動」が過去と非連続なフェーズに突入したことを実感した。政治家が企業のマーケティング手法を応用し、インフルエンサーとなり、再生数を軸にバーチャルな支持を獲得するモデルにシフトするというフェーズである。