健康を保つためにはどんなことが必要なのか。肝臓外科医の尾形哲さんは「『肝臓にいいものを多く摂る』のではなく、『肝臓に悪いものをできるだけ減らす』ことが大事だ」という――。(第3回)

※本稿は、尾形哲『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

肝臓の3Dイラスト
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脂ものを控えても肝機能は改善しない

スマート外来などで日々診療をしていると、患者さんからしょっちゅう「反省の弁」を聞かされます。たとえば、次のような感じです。

「脂肪肝って、脂ものさえ控えていれば治ると思ってたんです。肉の脂身とか揚げ物とか天ぷらとかは気をつけてたんですけど、毎日ごはんやそば、うどんなんかはたくさん食べてましたし、甘い飲み物も飲んでたしお菓子もけっこう食べてました……。でも、いま思えば、それが肝臓によくなかったってことですよね」

「健康によかれと思って、水代わりにスポーツドリンクを飲んでましたし、毎日野菜ジュースも飲むようにしてたんです。それに乳酸菌飲料も……。まさか、その習慣によって脂肪肝が悪化するなんて思いもしませんでした」

「私、脂肪肝はダイエットしなきゃいけないと聞いたんで、ケーキとかプリンとかスナック菓子とかは半年間も食べるのを我慢してきたんです。でも、甘い飲み物をやめようなんていう考えは全然頭に浮かびませんでした。100%オレンジジュースや甘い缶コーヒーは毎日のように飲んでましたし、夜は甘いカクテル・サワーも飲んでました……。『ケーキ断ち』や『お菓子断ち』をがんばっても一向に肝機能が改善しなかったのは、そのせいだったということですよね」