日本人の3人に1人が脂肪肝と言われている。医師の尾形哲さんは「その原因は甘い飲み物だ。毎日習慣的に飲み続けると、肝機能をじわじわと破壊し肝臓をボロボロにしてしまう」という――。(第1回)

※本稿は、尾形哲『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

肝臓3Dレンダリングイラスト
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肝臓を効率的に破壊する飲み物

砂糖や果糖ブドウ糖液糖を大量に含んだ甘い飲み物を日常的に飲んでいると体の中でどういうことが起こるのか。

砂糖には、ブドウ糖と果糖が1対1の割合で含まれていますし、果糖ブドウ糖液糖には、果糖が50%以上90%未満の割合で大量に含まれています。こうしたブドウ糖や果糖は、甘い飲み物として液体で口から入ると、たちまち小腸に到達します。そして、スピーディーに吸収されて、それぞれ次のようなかたちで肝臓にダメージを与えることになります。

・ブドウ糖→血糖値が急激に上昇し、多くのインスリンが分泌される。インスリンの働きにより、ブドウ糖が次々に中性脂肪に変換される。行き場なくあふれた脂肪がどんどん肝臓にたまっていく
・果糖→少量の果糖であれば、小腸においてブドウ糖に変換される。ただ、キャパを超えた大量の果糖はダイレクトに肝臓へ向かい、肝細胞のミトコンドリアの機能を障害する。さらに許容量をオーバーした果糖は次々に中性脂肪に変えられていき、どんどん肝臓にたまっていく

つまり、甘い飲み物を飲んでいると、ブドウ糖と果糖の「ダブルパンチ」によって、脂肪肝が進み、肝細胞が疲弊して、肝機能が低下していくのです。

一方ではブドウ糖の「精鋭歩兵部隊」が大挙してなだれ込んできてダメージをもたらし、一方では果糖という「“毒”を搭載した誘導ミサイル」が次々に着弾して、肝臓という街を大規模に破壊していくようなもの。このダブル攻撃はある意味、肝臓という街を廃墟と化すには、もっとも効率のいい攻め方なのかもしれません。