糖尿病予防には何に気をつけるといいか。肝臓外科医の尾形哲さんは「ここ10年、メタボリック症候群のリスクが一般に浸透するとともに皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積を気にする人はだいぶ増えた。だが、本当はそれよりメタボや生活習慣病の元凶となるヤバイ脂肪がある」という――。
※本稿は、尾形哲『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
脂肪肝こそがすべての病気の始まりになる
脂肪肝は“死亡肝”と言い直してもいいくらい怖ろしい病気――。
講演に呼ばれたときなど私はこう話し始めます。実際、「脂肪肝→脂肪肝炎→肝硬変」という悪化のプロセスをたどっていきます。ただ、じつは、脂肪肝がわたしたちにもたらす健康面のリスクは到底これだけでは済みません。
それというのも、脂肪肝が糖尿病をはじめとしたさまざまな病気の「発火点」となるからです。要するに、脂肪肝になると、それをきっかけとしていままで抱えていた体の問題が悪化したり、新たな問題が持ち上がったり、問題が悪化したりするようになり、数多くの疾患やトラブルに悩まされるリスクがどっと高まるんですね。
ちょっとここで、発症や病状悪化に脂肪肝が関係しているとされる疾患やトラブルをざっと挙げてみましょう。
2型糖尿病(糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症)、高血圧、狭心症、心筋梗塞、心不全、脳血管障害、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、痛風、胆石症、認知症、脂肪肝炎、肝硬変、肝細胞がん、大腸がん、膵臓がん、乳がん、胃がん……
いかがでしょう。メタボ系の疾患を中心に、日頃みなさんが気にされている病気のほとんどが入っているのではないでしょうか。まさに「脂肪肝は万病のもと」。私はもう「脂肪肝こそがすべての病気の始まりになる」と言い切ってしまってもいいくらいだと思っています。
みなさんは「ドミノ倒し」をご存じですよね。最初の1枚を倒すと次々にドミノが倒れていき、やがて勢いがついて大きなドミノも倒れるようになっていく……。
病気もこれと同じで、最初、肥満や高血圧、高血糖などから始まって、ドミノが倒れるように大きな病気へと連鎖していくものなのです。


