首の痛みはどうすれば治るのか。整形外科専門医の吉原潔さんは「体幹が弱いと首や肩に余計な負担がかかる。『バードドッグ』という体操で腹筋と背筋を鍛えると、そもそも首の痛みを起こしにくい体をつくれる」という――。

※本稿は、吉原潔『首の痛み・コリ・しびれ自力でできるリセット法』(アスコム)の一部を抜粋・再編集したものです。

首に違和感を感じ、手を当てている男性
写真=iStock.com/Staras
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首に悪いどころか“老けて見える”姿勢

街を歩いている人を眺めていて、年配の人に見えたのに、近づいてきたら若い人だった――。そんな体験はありませんか?

その原因は、首が亀のように前に突き出て、背中が丸くなっている下向き姿勢。「カメ首」と言われることもあります。こうした姿勢は加齢とともに増えやすく、「高齢者っぽい姿勢」というと、イメージされるのではないでしょうか。

姿勢の変化は、加齢とともに誰にでも起こります。子どもの頃は、意識しなくても背すじがピンと伸び、耳の位置が肩の付け根より少し後ろに位置しています。

しかし、年を重ねるにつれて、頭が少しずつ前に出てくるようになります。これは加齢によって背骨のカーブが変化し、首や背中の筋肉が弱くなるためです。

子どもの頃は、耳の位置が肩の付け根より少し後ろに位置。年を重ねるにつれて、頭が少しずつ前に出てくる。
子どもの頃は、耳の位置が肩の付け根より少し後ろに位置。年を重ねるにつれて、頭が少しずつ前に出てくる。出所=『首の痛み・コリ・しびれ自力でできるリセット法』(アスコム)

では、どうすれば予防できるのでしょうか。

意識してほしいのは、「長時間うつむいた姿勢を続けないこと」、「こまめに背すじを伸ばすこと」です。

また、本書でご紹介している「背中でお祈り」や、「ひじ回し」、「首をゆっくり回す」も、効果的です。

加齢による変化は、完全には止めることができません。それでも、首を動かす習慣を続けることで、首が前に出た「高齢者っぽい姿勢」を防いだり、改善したりすることも可能です。

「痛みを起こしにくい体」は作れる

一方、病気が原因で、首が前に倒れてしまうこともあります。

首を支える筋力が著しく低下し、首を起こして前を見ることが困難になる、「首下がり症候群(ドロップヘッド症候群)」という疾患です。高齢者を中心に報告されていますが、比較的稀な疾患です。

日常生活ではこんな不便があります。

・洗面所で、鏡の高さまで視線を上げられない
・歩行中に前方が見えにくい

パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)など、神経や筋肉の疾患に伴って発症しやすく、さらに加齢に伴う筋力低下も影響していると言われています。

治療の基本は、リハビリや、首や背中を支えるコルセットなどの装具を使った方法です。症状や原因によっては、首の骨を固定する手術が選択肢になることもあります。

そこで、ぜひ手に入れていただきたいのが、「首の痛みを起こしにくい体」です。というのも、セルフケアで痛みがせっかく改善しても、何度も痛みをくり返してしまう方がいます。

そんな方の特徴の1つは、「体全体を支える土台が弱い」こと。

土台は、背骨や骨盤を支え、姿勢を安定させます。一般に「体幹」と呼ばれ、おなかや背中、腰まわりに位置する筋肉群で構成されています。

体幹が弱いと、立つ・歩く・座るといった日常の動作でも姿勢が安定せず、その結果、首や肩に余計な負担がかかってしまいます。逆に体幹がしっかりしていれば、首は自然に正しい位置に保たれ、負担が少なくなるものです。