※本稿は、吉原潔『首の痛み・コリ・しびれ自力でできるリセット法』(アスコム)の一部を抜粋・再編集したものです。
首に悪いどころか“老けて見える”姿勢
街を歩いている人を眺めていて、年配の人に見えたのに、近づいてきたら若い人だった――。そんな体験はありませんか?
その原因は、首が亀のように前に突き出て、背中が丸くなっている下向き姿勢。「カメ首」と言われることもあります。こうした姿勢は加齢とともに増えやすく、「高齢者っぽい姿勢」というと、イメージされるのではないでしょうか。
姿勢の変化は、加齢とともに誰にでも起こります。子どもの頃は、意識しなくても背すじがピンと伸び、耳の位置が肩の付け根より少し後ろに位置しています。
しかし、年を重ねるにつれて、頭が少しずつ前に出てくるようになります。これは加齢によって背骨のカーブが変化し、首や背中の筋肉が弱くなるためです。
では、どうすれば予防できるのでしょうか。
意識してほしいのは、「長時間うつむいた姿勢を続けないこと」、「こまめに背すじを伸ばすこと」です。
また、本書でご紹介している「背中でお祈り」や、「ひじ回し」、「首をゆっくり回す」も、効果的です。
加齢による変化は、完全には止めることができません。それでも、首を動かす習慣を続けることで、首が前に出た「高齢者っぽい姿勢」を防いだり、改善したりすることも可能です。
「痛みを起こしにくい体」は作れる
一方、病気が原因で、首が前に倒れてしまうこともあります。
首を支える筋力が著しく低下し、首を起こして前を見ることが困難になる、「首下がり症候群(ドロップヘッド症候群)」という疾患です。高齢者を中心に報告されていますが、比較的稀な疾患です。
日常生活ではこんな不便があります。
・洗面所で、鏡の高さまで視線を上げられない
・歩行中に前方が見えにくい
パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)など、神経や筋肉の疾患に伴って発症しやすく、さらに加齢に伴う筋力低下も影響していると言われています。
治療の基本は、リハビリや、首や背中を支えるコルセットなどの装具を使った方法です。症状や原因によっては、首の骨を固定する手術が選択肢になることもあります。
そこで、ぜひ手に入れていただきたいのが、「首の痛みを起こしにくい体」です。というのも、セルフケアで痛みがせっかく改善しても、何度も痛みをくり返してしまう方がいます。
そんな方の特徴の1つは、「体全体を支える土台が弱い」こと。
土台は、背骨や骨盤を支え、姿勢を安定させます。一般に「体幹」と呼ばれ、おなかや背中、腰まわりに位置する筋肉群で構成されています。
体幹が弱いと、立つ・歩く・座るといった日常の動作でも姿勢が安定せず、その結果、首や肩に余計な負担がかかってしまいます。逆に体幹がしっかりしていれば、首は自然に正しい位置に保たれ、負担が少なくなるものです。


