脂肪肝は内臓脂肪よりも危険
図表2のグラフをご覧ください。これは順天堂大学医学部の研究グループが、肥満のない被験者を「①内臓脂肪だけあり」「②脂肪肝だけあり」「③両方あり」「④両方なし」の4群に分けてインスリン感受性を調べた結果です。棒グラフが低いほど、インスリン感受性が低く糖尿病になりやすいということを示しています。
これで見ると、「内臓脂肪だけ」の群よりも、「脂肪肝だけ」の群や「両方あり」の群のほうが糖尿病発症リスクが高いということが明らかですね。
つまり、糖尿病を発症するかどうかの決定的カギになるのは、「内臓脂肪の有無」ではなく、「脂肪肝の有無」なのです。
実際、脂肪肝の患者が2型糖尿病を発症するリスクは、一般集団と比較して2〜5倍程度高いことが示されていて、とりわけ、脂肪肝炎に進行した場合はより糖尿病に移行しやすくなることが分かっています。
現に、糖尿病を発症した患者さんの5割から8割が脂肪肝を合併していると報告されています。
さらに、脂肪肝によって糖尿病を発症させてしまったら、その後多くの病気に見舞われやすくなるのは目に見えています。
壊疽、失明、透析といった重大リスクも
糖尿病は動脈硬化の進行を早めて心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めることにもつながりますし、糖尿病を悪化させてしまうと、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症といった合併症を起こすリスクも高まります。
みなさんご存じかもしれませんが、こうした糖尿病の合併症をこじらせた先には、壊疽、失明、透析といった重大リスクも待ち受けています。
ですから、わたしたちはもっともっと脂肪肝に対して危機意識を持ったほうがいい。自分の肝臓に脂肪がたまっていることに気づいた段階で、これから自分に向かって来るであろう“多くの病気の足音”を感じ取る必要があるのです。
逆に言えば、脂肪肝に気づいた段階でしっかり肝臓を治してしまえば、動脈硬化や糖尿病の発病のリスクをかなり減らすことができるわけです。これを実行すれば、それだけで今後の長い人生で厄介な病気にかかるリスクをかなり減らすことができるでしょう。
すなわち、健康診断などで脂肪肝が発覚したときに、ほったらかしにしたままみすみす多くの病気を招いてしまうか、それともいまのうちにちゃんと治療して病気のリスクを消しておくか――。「肝臓にたまった脂肪」にどう対処するかによって、後々の人生の状況が大きく変わると言っていいのです。
繰り返しますが、脂肪肝は万病のもとであり、内臓脂肪よりもはるかに大きい健康被害をもたらす怖い存在です。
ぜひみなさんも、“頭の中の健康常識ノート”に「脂肪肝=放っておいてはいけない怖い病気」という1行を、太くて大きい文字でしっかり上書きするようにしてください。



