どうすれば資産を増やすことができるのか。カナダの経済記者、ニコラ・ベルベ氏は「運用資産について頭を悩ませるのはやめたほうがいい。なぜなら投資ほど直感が災いするものはないからだ」という――。(第3回)

※本稿は、ニコラ・ベルべ著、土方奈美訳『年1時間で億になる投資の正解』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

株価チャートを背景に歩道の上に座って頭を抱えるビジネスマン
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株価が下落した時にはどうするべきなのか

投資家なら誰しも市場が大幅に下落し、低迷している時期に投資したいと考える。だが実際には、ことはそれほど単純ではない。

過去の株価チャートで相場が下がった局面を見つければ、ここが底値で株を買うチャンスだと思うだろう。しかし実際に下落相場を経験すると、チャンスという気分など吹き飛んでしまう。

過去の株価下落について冷静でいられるのは、それがどう終わったかを知っているからだ。だが目の前で起きている下落について、冷静でいるのはとても難しい。それはとてつもない恐怖感をともなう。

真っ暗な洞穴に懐中電灯なしで入っていくような気がする。暗闇に何が潜んでいるかは誰にもわからない。手探りで必死に前に進むしかない。市場の調整はときには数週間、数カ月続くこともある。それは投資家の不安を高め、弱気にさせ、すべてに疑問を抱かせる。

こうした状況では、たいていの人は金融資産を買うことなど思いもしない。そして買えば買ったで、すぐに価値が下落する可能性は高い。投資商品を買った数分後に値下がりするのを目の当たりにしたら、給料袋をロウソクの火の上にかざしているような気になる。控えめに言っても、あまり気持ちのよいものではない。