老後資金を賢く手にする方法は何か。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんは「定年後、老後資金を年2~4%で運用したとしても、資金寿命を延ばせるのはほんの数年だ。しかし、年金の繰下げ受給をすると、受給額が年間8.4%という割合で増額し続ける。国の制度で保障もバッチリであり、こんなに有利な商品はない」という――。

※本稿は、長尾義弘『投資ゼロで老後資金をつくる』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

コインと貯金箱、シニアカップルの人形
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老後資金の運用ではなく、本当にすべきこと

定年までにしっかり貯めて、それを老後の生活費として取り崩していく。これがいままでの老後資金の常識でした。

ところが、その常識では、長生きすると資金が尽きてしまいます。そのため、2000万円では足りない、もっと貯めろといった記事が大半でした。

老後資金を取り崩しているのですから、何も対策をしなければ、資金が尽きるのは早くなります。資金が尽きると借金もできませんので、生活費を抑えて年金だけで生活をすることになります。

老後資金を運用することによって、資金寿命を延ばすことはできます。

しかし、老後資金は、大きなリスクを取って運用するわけにはいきません。現役時代ならある程度のリスク覚悟で運用しても、働いているので取り戻すことが可能です。

しかし、高齢者は年金以外になかなか収入を増やせません。運用で失敗して資産を減らしてしまったら、取り返すことは難しいのです。

そうなるとリスクが小さいもので安全に投資することになりますから、目標は2~4%です。

年2~4%で運用したとしても、資金寿命を延ばせるのはほんの数年です。もっと資金寿命を延ばすには、取り崩す額を減らすしかありません。