年8.4%を確実に手に入れる方法

資産寿命を延ばすために生活の質を落としたら、豊かで安心な老後生活とは言えなくなります。

しかし、年金の繰下げ受給をすると、受給額が増えます。年間では8.4%です。運用の目標である2~4%よりずっと利率がいいのです。

しかも、この年8.4%は上がったり下がったりせず、ずっと同じ割合で増額します。

年金手帳
写真=iStock.com/itasun
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もちろん、年金は金融商品ではありません。しかし、金融商品と比較してみると、こんなに有利な商品はないと言えます。さらに、国の制度ですから保障もバッチリあります。

2023年の平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.14歳です。ちなみに、1955年は、男性63.60歳、女性67.75歳でした。寿命がどんどん延びている時代には、長寿に合った資産をつくる必要があります。

年金は一生涯、受給できる点が強みです。生きている間は増額した金額を受け取れるため、生活の質を維持できます。「収支のバランス」が少しでも黒字なら、生活にゆとりが出てきます。貯まったお金で美味しいものを食べに行くといった楽しみも生まれるでしょう。

少し心配なのは物価高(インフレ)です。

資産を運用するメリットとして、インフレに対応できることがあげられます。株式などはインフレになると価格も上がります。

年金は、物価と現役世代の所得に合わせて受給額が変わりますが、「マクロ経済スライド」といって、受給額からスライド調整分を引かれる制度になっているので、物価が上がっても上がり率は少し抑えられます。とはいえ、インフレにも対応しています。

70歳まで年金を繰り下げれば、受給額は42%増える

老後資金は、老後生活で足りない分を補うものだと思い込んでいる人がほとんどだと思います。ここは発想の転換が必要です。

老後資金を運用するより、年金の繰下げ受給のほうが有利であることは前述した通りです。「そうはいっても、65歳からは収入もあまりないし、年金をもらわなきゃ暮らしていけない」と考えるかもしれません。

そこで登場するのが老後資金です。老後資金は「繰下げ受給をするための生活費」として使うのです。

そうなると老後資金は先に取り崩すため、減ってしまいます。減っていく貯蓄残高を見ると、たしかに心配になるかもしれません。とはいえ、70歳まで年金を繰り下げれば、受給額は42%増えます。その後はお金の心配がなくなり、暮らしはとても豊かになるのです。

60代で繰り下げている時期のお金の心配をするか、老後中盤以降、どんどん少なくなっていくお金の心配を生涯するか。どちらを選ぶかという話ですが、老後の中盤から90〜100歳くらいまでお金の心配をし続けるというのは、ちょっと長くてキツい気がします。