健康のためにはどんな靴を選ぶべきなのか。整形外科医の杉本和隆さんは「ひざに優しい靴を選ぶべきだ。かかとが平らな靴は歩きやすそうだが、ひざに負担がかかる姿勢になりやすく、おすすめしない」という――。(第2回)
※本稿は、杉本和隆『痛みがすーっと消える 魔法のひざ体操』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
ヒアルロン酸のサプリメントはひざに効くのか
ヒアルロン酸を注射器でひざ関節に直接注入する方法で、ひざ関節の痛みが軽減するというお話を第2章でしました。今や多くの方がサプリメントを栄養補助に利用していることもあり、「ヒアルロン酸のサプリメントはひざに効くのですか?」という質問をいただきます。これは正直、YESとはお答えできない質問です。
なぜなら、1日ボウルに2杯分のヒアルロン酸を食べたら軟骨が少し再生したという報告がありますが、これはあくまで研究データであり、普通の生活を送る方が、現実にそんな大量のヒアルロン酸を口から摂取することはできないからです。
昔、ある健康雑誌で「キクラゲを食べてひざ痛が治った」という記事を読んで驚いたことがあります。たしかにキクラゲはヒアルロン酸の含有量が多い食品です。しかし、過去のデータからも、キクラゲを多少多めに毎日食べたくらいでは、軟骨が再生するほどの量には至りません。
何人もの体験談が掲載されたその記事はもしかすると、キクラゲを食べつつ、筋肉をきたえる運動をした方々の体験談を、さも“キクラゲだけで治った”ように誇張して書かれたものだったのかもしれません。
いずれにしてもキクラゲを食べるだけでひざ痛が治るというのは、科学的根拠のない話です。サプリメントも一時のブーム的に摂取するのでは、まったく意味がありません。
そしてダイエットと同じようにひざ痛も、口から摂取するものだけに頼っては治りません。サプリメントや食事でひざに負担をかけない体づくりを心がけながら、並行して運動を行う。これこそが、ひざ痛を緩和する一番の方法だと私は思います。