フラットシューズはお勧めしない
ひざに優しい靴とは、どんな靴でしょうか。歩行が楽なのは断然、かかとが低い靴やフラットな靴です。でも靴底が平らだと、体重が母趾球(足の親指の付け根)にのらないので、後ろのほうに荷重がかかることになります。
そうなると倒れないようにと、体は無意識にバランスをとろうとしてひざを曲げます。このひざを曲げた体勢が、ひざ小僧(膝蓋骨)によくないのです。
つねにひざを曲げた体勢を続けていると、それだけひざにはストレスがかかります。しかもひざを曲げた状態が続くと、ひざの裏側から足の裏にかけての筋肉のスプリング効果が失われてしまい、すべての衝撃がひざにダイレクトにくるのです。
階段を下りるときフラットな靴だと、さらに大きな衝撃が加わります。たとえば5センチの段差をかかとで強く着地すると、実に体重の20倍の荷重がかかります。でも前の項でご説明した足の3つのアーチをしっかり支える靴なら、足元で衝撃を吸収できるので、ひざへの負担は少なくなります。
この点でも、かかとにはフラットより、3.3センチ以上6センチ未満のヒールが好ましいのです。
ひざの名医が教える正しい歩き方
平らなところを歩くときは、かかとから足をつくのがひざに最も負担をかけない歩き方です。ハイヒールの場合も、実はかかとから着地しています。そうしないとバランスがとれないからです。歩くときの足の運び方を、かかとから着地するよう意識してください。
ひざによい靴は、かかとが平らなものより少し丸みがあるものです。着地するときに足全体に力が入るような構造になっているので、ひざにダイレクトに衝撃がきません。靴を選ぶときは、ぜひかかとをチェックして買うようにしてください。
また、女性に多い外反母趾が直接ひざ痛の原因になることはありませんが、外反母趾が進行して足の骨の変形が進むと、足のアーチがなくなり扁平足になってしまいます。こうした症状を持つ方も、履いたときに足のアーチを作る靴を選ぶことが大切です。
変形性ひざ関節症などの疾患があれば、保険適用でオーダーメイドの中敷(足底板)を作れます。今はシューフィッターといった足の専門家が常駐する靴屋さんがあるので、ぜひ利用して、ひざを壊さない対策をとりましょう。