カフェインはどのように活用すると効果的か。広島大学大学院 医系科学研究科 公衆衛生学 准教授の田原優さんは「アメリカ・コロラド大学の実験では、カフェインが体内時計を遅らせることがわかった。また関連した論文では、夜にカフェインを摂ると眠れなくなるだけでなく、1日のリズムに影響するという新しいながら魅力的な視点も得ている」という――。

※本稿は、田原優『集中力を爆上げするカフェインの教科書』(日本能率協会)の一部を再編集したものです。

朝のコーヒーをかき混ぜる眠い女性
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体内時計とカフェインの相関関係

私が先に述べた以外に、カフェインにはもう1つ大きな力があると知ったのは、体内時計に関する実験でのことでした。

そもそもですが、体内時計は私たちの体のどこにあると思いますか? 正解は体のすみずみ。脳にも目にも、心臓に手足、皮膚や骨まで、至るところに体内時計があります。

正確にいえば、体内時計は遺伝子に組み込まれています。「遺伝子に」ということは、「細胞に」ということ。全細胞つまりは体のすみずみに体内時計があります。これらは「末梢まっしょう時計」とよばれます。

そしてそのすべては、脳にある「中枢ちゅうすう時計」で制御されています(図表1)。中枢時計と末梢時計の関係は、オーケストラの指揮者と演奏者に似ています。

オーケストラでは、指揮者の合図に合わせて演奏者が楽器を奏でますよね。異なる音を重ね、皆で一つの楽曲をつくり上げます。同じようにまず、脳の視床下部の視交叉上核しこうさじょうかくという場所にある中枢時計が合図を出す。

合図を受けて、体の各器官にある末梢時計が動く。各器官はそれぞれの役割を果たしながら、その人の1日を“演奏”する。演奏者のリズムが乱れれば不協和音が鳴ります。体内時計がズレれば時差ボケが生じます。