カフェインを摂取すると、体にどのような効果があるのか。広島大学大学院医系科学研究科の田原優准教授は「目を覚ますだけではない。ゆるやかに幸せな気分をもたらしてくれるほか、ダイエットや病気のリスクが下がるなどの健康効果があることがわかった」という――。(第4回)

※本稿は、田原優『集中力を爆上げするカフェインの教科書』(日本能率協会)の一部を再編集したものです。

日本の老人
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コーヒーを飲むとトイレが近くなる理由

みなさんはコーヒーやお茶を飲むとトイレが近くなった経験はありませんか? これはカフェインとアデノシンの関わりによるものです。

アデノシンは腎臓でも働きます。腎臓の働きは、血液中の不要な水分や老廃物をろ過して、体の外に尿として排出することです。腎臓のアデノシンは血管を収縮させる役割を持っています。ところがカフェインを摂り入れると、それがブロックされる。アデノシン受容体阻害作用ですね。血管の収縮がなくなるのです。

また腎臓に入ったすべてが尿として排出されるわけではありません。必要な水分や栄養素などをもう一度体内に戻します。再吸収と呼ばれる腎臓の役割です。特に水分の99%は再吸収されます。

アデノシンはこの再吸収にも関わっているんですね。ところがカフェインが入ることで、再吸収が抑えられます。血流量が増え、さらに水分や栄養素などが再吸収されにくくなる。だから「カフェインには利尿作用がある」というわけです。

ただし付け加えておくと、トイレが近くなることはわるいともいえません。むくみの予防という意味では、逆によい作用だったりもします。一方で、研究によってはコーヒー摂取は、水の摂取と同等の水分補給効果があるため、水分補給として適量のコーヒーを飲むことも脱水予防には大事という意見もあります。

利尿作用にも個人差があるので、自分のカフェインに対する応答を見極めるといいですね。

「ゆるやかに幸せな気分に」なる

アデノシンには、脳をリラックスさせ、ドーパミンの働きを抑える作用もあります。ドーパミンとは快感や多幸感を得たり、やる気を出させたり、運動や学習にも関与する脳内ホルモンです。

たとえば覚醒剤はドーパミンに影響を及ぼす薬物です。大量のドーパミンの急激な放出や、ドーパミンの受容体への直接的な作用から、強い快感や多幸感を与えます。依存や中毒を引き起こし、多くの弊害があります。

一方でカフェインの効き方は、覚醒剤とは違っています。

繰り返しますが、カフェインはアデノシンの働きをブロックします。つまり「ドーパミンの抑制」を抑制することに。結果としてドーパミンの効果は間接的に高まります。ゆるやかに、幸せな気分にさせてくれるわけです。カフェイン入り飲料の多くが嗜好品として親しまれている理由がわかりますよね。

さらにカフェインには消化器官を刺激し、胃酸の分泌を促す効果もあります。そのため、空腹時に飲むと胃酸過多で胃が荒れるという可能性があります。ただ、これも良し悪しで、食後であれば直前に食べたものの消化を助けてくれます。「食後のコーヒー」「食後のお茶」というのは、この意味で理にかなっているといえるでしょう。