体内時計の1日に0.09~0.19時間のズレ

各器官で活発な時間帯には差があります。これもオーケストラと似ていますね。ピアノやバイオリンやフルートが、いつも一斉に鳴っているわけではありません。

抑揚をつけながら、ときに大きく、ときに休みながら、ハーモニーをつくり上げています。

同じように脂肪組織は夜に脂肪をためようとしたり、腎臓は昼間に老廃物を排泄するために尿を生成したりするなど、各器官の機能は時間により変わります。

そこで体内時計がズレていると「実際は朝8時なのに、体は朝5時の状態で調子がわるい……」となってしまうわけです。ではなぜ体内時計がズレるのでしょう。

前提として押さえたいのは、体内時計の1日が24時間ではないということ。実はちょっと長いんです。ある調査では女性の平均は24.09時間、男性は24.19時間。

もしも放っておくと、このズレが1カ月で何時間にもふくらみます。ただ体はうまくできているんですね。体内時計の針を動かす仕組みをいろいろと持っています。代表的なものが「光」です。

カフェインが体内時計に与える影響

たとえば朝日を浴びると、遺伝子が「あぁ、朝が来たんだ」と感じて体内時計はリセットされます。これは日光でなくても構いません。同じ時間に蛍光灯の光を浴びることでも効果はあります。

他にも、朝食や朝の運動にも、体内時計のリセット効果があります。ここで本題です。カフェインには体内時計の針を動かす力があります。私は体内時計の研究をもとに、時間栄養学を研究しています。

コーヒーの朝食
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです

時間栄養学とは、「何をどれだけ食べるといいか」というこれまでの栄養学に「いつ」を加えた学問です。

時間栄養学

何を + いつ + どれだけ  食べるか?

私も開発に携わった、時間栄養学をもとに生まれた食品「Cycle.me(サイクルミー)」をセブン-イレブンの棚などで見かけた方もいるかもしれません。

時間栄養学では、どんな食品のどんな成分が体内時計に影響するのかを日々研究し続けています。その中でわかったのが、カフェインが体内時計に与える影響です。

たとえばアメリカ・コロラド大学の研究者らは5人のアメリカ人を対象に実験を行った結果を、2015年に発表しました。

その実験では、就寝3時間前にエスプレッソ2杯分のカフェインを与えた結果、睡眠物質であるメラトニンの分泌が遅れたといい、これは体内時計が遅れたことを意味しています。