リーダーの人間性それ自体が、事業の盛衰のみならず、組織の命運を決定づける。『1日1話、読めば心が熱くなる365人の人間学の教科書』の編集を担当した小森俊司さんは「名選手が名監督になれない理由として、『いつまでも自分が主役だと思っているからだ』というラグビーの平尾誠二さんの言葉は経営者、管理職の胸に刺さるのではないか」という──。(第3回/全3回)
薄い氷を踏んだ場面
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リーダーはメンバーの生死を握る

第6回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で連覇を期待されながらも、準々決勝でベネズエラに逆転負けを喫し、大会史上最低のベスト8敗退という結果に終わった侍ジャパン。井端弘和監督が退任の意向を示したのは、その直後のことだった。

選手起用、継投策、チーム編成……など、様々な敗因が取り沙汰されているが、いずれにせよ敗北の最終責任を負うのは指揮官ということになる。

スポーツの世界のみならず、あらゆる事業の盛衰はリーダーの指示・決断によって決まることを痛感する。その在り方が組織のメンバーの生き死にさえも決定づけることさえある。

その象徴的な例の1つが、探検や冒険の世界である。

陣頭指揮を執るリーダーの決断・指示によって隊員たちは行動するが、その在り方がプロジェクトの成否はおろか、多くの命の明暗を分けたことが歴史上にもあった。

コンパス
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全滅した「スコット南極探検隊」の悲劇

かつて第一次南極観測越冬隊長を務めた西堀榮三郎氏は、『1日1話、読めば心が熱くなる365人の人間学の教科書』の中で、こんな話を展開している。

朝日新聞の本多勝一君が書いた『アムンセンとスコット』という本がありましてね。これがなかなかおもしろいですね。両方の隊の日記をベースに、この日はこっちはどうしたということを比較しながら書いているんです。

ご承知の通り、アムンセンは南極に最初に到達した。スコットはそれから1カ月半遅れてようやく着いたが、全員全滅した。私はそれは偶然ではなく、必然だと思っていたんですが、それが如実に表われている。