両者の運命を分けたのは「階級組織」
時は1910年。ノルウェーのアムンセン隊とイギリスのスコット隊。
二人のリーダーは、ほぼ同時に南極点を目指し、互いにその存在を知っていた。しかし両者の運命は栄光と悲劇に分かれ、対照的である。
一体なぜそうなったのか。西堀氏は次のように述べる。
両者の運命を分けることになったことの一つにね、隊長の「情熱」の差がある。
アムンセンは少年の時から極地探検を志し、そのために機会あるごとに勉強し、鍛錬していた。スコットは自ら望んだ極地探検でなく、南極に情熱を持っていたマーカムにお膳立てされた南極行きだった。この時点で、すでに二人の間には大きな「心構え」の差がある。
それから、アムンセンの組織というのは自立主義です。スコットはイギリス海軍の将校ですから、階級組織です。その階級的意識がずうっと後まで災いするんですね。で、結局、兵卒であった者から順ぐりに死んでいく。
スコットは責任を持ってるから一番最後に死んだと英雄化されていますが、下の者ほど心理的肉体的な疲労が激しかったということでしょうね。
「服従型」のメンバーは逆境に弱い
恐ろしいことに、2人の持つ心構えの差、探検に対する姿勢の差は、隊全員が辿る運命の差にも通じていく。
スコットのほうは「貧すれば鈍する」というようなことばっかりが次から次へと起こってくる。アムンセンのほうは、誰一人ケガもしないんで、すいすいと行く。
で、日記を並べてみるとね、同じ嵐の時に、片一方はイライラしとる。当時は無線がないですからね。ところが、一方は「ああ、この神の与えてくれた休暇、嵐よ」ということをいってるわけです。
また、一方はちゃんと隊員に物を考えさせる余地を作ってる。それで、自分がくたばっても、その隊は誰も死なずに無事帰れるようにせないかんということを常に仕込んどるわけです。ところが一方は、自分がみなを連れてきとるんだと、こういう考えです。上官には絶対服従です。
リーダーの姿勢は、そのまま部下にも伝わり、組織全体を左右することの顕著な例と呼べるだろう。
同時にこのことは、各自が自主的に仕事をするようになれば、リーダーの指示がなくても動くようになることを指し示してもいる。全員が参画精神を持って1つの目標に向かった時、素晴らしいチームワークを発揮することができるのだ。
