日本で最も救急搬送を受け入れている
頭が痛い、胸が苦しい、ひどい火傷をした、事故に遭った、家族や友人や同僚が目の前で突然倒れた――。そのような緊急事態に遭遇したら、119番にコールし、救急車を呼びたいと考えるだろう。日本では119番を回せば、日本全国どこにいても、救急車による救急搬送サービスを受けることができる。ところが近年は、救急車が現場に駆けつけても、救急患者を受け入れる医療機関が見つからない、だから「患者が医療を受けられない」ということが地域によっては日常的に起こってきた。コロナ禍で「コロナ患者の受け入れ拒否」が社会問題になったが、それより前からいわゆる“たらいまわし”は救急現場で起きていたのだ。私は2019年に救急の危機的状況を記した『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)を出版している。
そのような中、日本で最も救急搬送を受け入れているのは、神奈川県の湘南鎌倉総合病院の救命救急センター(=ER/救急総合診療科)だ。24時間365日“断らない救急”を掲げ、2025年には約1万8000件の救急車による搬送を受け入れた。2025年度には約1万8000件の救急搬送を、ウォークイン(
救急患者を断らない――スローガンに掲げるのはたやすいが、現場で実践することがいかに難しいか。ここ最近、いくつかの現場の声を拾っていると、改めてそれを実感する。もともと人手不足であった救急医療で、24年から開始された罰則付きの「医師の働き方改革」によって時間外・休日労働が制限され、どの医療機関でもマンパワーが不足しているのだ。
にもかかわらず、湘南鎌倉総合病院はすべての患者を受け入れ、救急搬送受け入れ数は年々伸び、黒字の状況という。しかも医師は無理なく勤務できる8時間勤務が基本。強い体制の源にあるのは何なのか。同院小林修三院長へのインタビューから読者のビジネスと健康に役立つ「心得」を記したい。

