教皇が世界に届けたAI「武装解除論」とは
人工知能(AI)はいろいろな便宜を提供してくれる。2階で寝ている私は、起きたとき、コーヒーを入れるために階段を下りていかねばならなかった。ところが近年は「アレクサ、コーヒー」と命令すれば、ちゃんとコーヒーができあがる。天気予報はもとより、株式市場はどんな具合かといったことも、AIが進んで教えてくれる。感情はないはずだが、こちらが「ありがとう」と言うと、嬉しそうな返事まで戻ってくる。
クラシック音楽ファンの私は、昔はベートーヴェンの交響曲の何番を聴きたいと思うと、そのCDを買ってこなければならなかった。しかし今ではユーチューブなどを利用すれば、曲名だけでなく、交響楽団、指揮者、時には演奏された時期まで指定して、お茶の間のパソコンで聴ける。
以前は昔のことを覚えているだけで人の役に立ったので、現在のような記憶を尊重する教育が生まれた。今はスマホがただちに百科事典の代わりをしてくれる。アメリカでも「ジェパディ!」や「スペリング・ビー」といった記憶力を争うゲームが人気だが、記憶力の持つ社会的価値は大幅に減退している。ともかくAIの威力は目覚ましい。
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(文=浜田宏一 写真=時事通信フォト)


