ボールを持たない子もチームの主役になる

東伏見(東京都西東京市)は早稲田大学運動部のグラウンドや合宿所が集まる「早稲田スポーツの聖地」です。普段は早大生が鍛錬を積んでいますが、日曜日の朝は少し雰囲気が違います。

「おはようございます。お願いします!」

鮮やかな緑の人工芝が敷き詰められたフットボール場に、子どもたちの弾むような声が響きます。時間になると園児から小学生まで、年齢別に集まって準備運動やミニゲームが始まります。コーチの声に合わせて駆け出したかと思えば、額を寄せ合って作戦を確認する――。子どもたちが取り組んでいるのは、フラッグフットボールです。

アメリカンフットボールをベースに、タックルなどの危険な接触をなくした競技で、腰のフラッグを取られるとプレーが止まります。現場を後進に託したので、私は少し離れた場所から、子どもたちの様子を見守ります。20年以上前、地域貢献と競技の裾野を広げたいという思いから始めたこのチームも、全体では園児から高校生まで100人以上が集う大所帯になりました。今では多くの卒業生が各界で活躍しています。

この競技の良さは、誰もが自分の強みを生かせることです。速く走れる子もいれば、その子のために走路を切り開く子もいます。フラッグフットボールは、ボールを持つ選手だけが主役ではないのです。

私も、学生時代はこのグラウンドに立つ選手でした。早稲田大学の米式蹴球部で、初めてアメリカンフットボールに出合いました。先輩に誘われて入部したものの、激しくぶつかり合う競技に馴染めず、退部を考えたこともありました。そんな時、引き止めてくれたのは先輩や同期の仲間でした。毎日のように「何してるんだ。早く戻ってこいよ」と電話をかけてくれたのです。靭帯断裂で1年近くプレーできない時期も、仲間はずっと私を支えてくれました。グラウンドに戻ると、皆が以前と何も変わらず私を迎え入れたのです。

私はもともと「自分が、自分が」という性分ではありません。それでも周囲に支えられ、背中を押されて、プレーを続けることができました。それは社会に出てからも同じです。上司や同僚、後輩とチームで取り組むことの心強さ、目標へともに進む喜びを、その都度教えられてきました。

ただの数字のポイントに温かみを宿らせる

グラウンドで小学生に話していたことと会社で社員に話していることは、ほとんど同じです。元気に挨拶をすること、信頼を積み重ねること、それぞれが役割を果たし、一つの目標へ進むこと。仲間と課題を解決し、目的を達成しようとするときに、すべきことの本質は変わりません。

そのうえで最近、私が社員に呼びかけているのが「わかりやすい言葉を使おう」ということです。フラッグフットボールではプレーが止まると、選手たちが次のプレーの作戦を話し合います。審判がプレー再開の笛を吹くまでの数秒間で全員が意思をまとめ、迅速に動かなければなりません。的確な状況判断とコミュニケーション、相手に届く言葉が必要になります。ビジネスの世界でも求められるスキルです。

ロイヤリティマーケティングは、共通ポイント「Ponta」を運営しています。私たちはお客様と直接言葉を交わしませんが、ポイントの加算や利用を通じてお客様の嗜好や消費行動を理解することができます。そのデータをわかりやすい形で提携社に伝え、充実したサービスに生かしてもらう。いわばPontaポイントが共通言語として機能する社会を実現するのが、私たちの目指すところです。

(構成=渡辺一朗 撮影=宇佐美雅浩)

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