2週間に1度、5ミリを切り落とし続ける理由
シャキ、シャキ、シャキ、シャキ――。頭に軽く触れた指先に導かれ、鋏がリズミカルな音を立てて渡っていきます。切り落とされた5ミリほどの毛先が、ハラハラとケープの上に落ちていく。濃い色に焼けた天然木の調度品、白い陶器の洗面台、壁に灯る古いブラケットライト、静かに流れるジャズ。鏡の前に並べられた琥珀色の空き瓶は、常連から贈られたスコッチウイスキーだそう。どことなくバーの雰囲気も漂う店構えを見て、先日は勘違いした観光客が「一杯飲ませてくれ」と入ってきたのだとか。そんな店主との他愛ない世間話に、肩の力が抜けていきます。
2週間に1度、私は理容室を訪れます。人より髪の伸びるのが早いこともありますが、気になってからだといかにも「散髪したて」な感じに仕上がるのが嫌なのです。長すぎず、短すぎず、常にちょうどいい長さを保っていたい。隔週の散髪は30代の頃から続けている習慣で、「髪を切ったね」と言われたことはほとんどありません。家族にさえ「どこを切ったの」と不思議がられたほどです。
とはいえ、髪型を変えたことがないわけでもありません。周囲が気づいたかはわかりませんが、最近「ツーブロック」にしたのです。それまで私は「ツーブロックは軽すぎる印象で、サラリーマンにも社長という立場にもふさわしくない」と勝手に思い込んでいました。考えが変わったのは同世代の経営者がツーブロックにされているのを見たときで、爽やかで少しも浮ついたところがありませんでした。腕のある理容師が手掛ければツーブロックも軽薄にならないのだと知って、店主にお願いしました。
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(構成=渡辺一朗 撮影=宇佐美雅浩)



