いつかハーレーにと40年以上前に語り合った
自宅のガレージに、2台のハーレーダビッドソンが収まっています。奥の1台は、近場を走るときの相棒「XL1200X Forty-Eight」。ピーナッツタンクとファットタイヤが生む低く構えたシルエットが、存在感を放ちます。もう1台の「FXLRS LowRider S」は、排気量1923ccが唸る遠出の相棒。ミニフェアリング(風防)をまとった精悍なスタイルはそのままに、ハンドルやシートを自分仕様に仕立て、どこまでも快適に走れるよう手を入れてきました。
二輪免許を取ったのは15年前です。息子が普通二輪を取るというので一緒に教習所へ通い、私はそのまま大型二輪まで取得しました。バイクに乗るならハーレーと決めていたからです。免許を手にしてすぐに販売代理店に行き、最初の愛車となる「XL883(通称パパサン)」を手に入れました。当初は車体の重量感とパワーに痺れましたが、慣れると「もっと大きなモデルを駆りたい」と思うようになり、以来4〜5台を乗り継いできました。
ハーレーの哲学はスペックやスタイルなど、あらゆる部分に宿っています。特に魅了されるのは、サウンドと振動です。ドッドド、ドッドド、ドッドド……と刻む独特の三拍子。最新のモデルは軒並み電子制御になって、キックでエンジンを掛けていた時代の出だしの不器用なリズムこそなくなりましたが、味わい深い重低音は健在です。私はさらに低音を引き立たせるマフラーを換装して聞き惚れています。
憧れの始まりは、40年以上前に遡ります。当時、大学生だった私は特に仲の良かった4人と一緒に、映画『イージー・ライダー』を観ました。デニス・ホッパーとピーター・フォンダ演じる主人公2人組が、ハーレーに乗ってロサンゼルスからニューオーリンズまで大陸を横断するストーリーで、感激した我々は「俺もいつかハーレーに乗りたい」との夢を語り合いました。
卒業後は連絡も途絶えていたのですが、それから25年後、我々は偶然にもフェイスブックで繋がり、久しぶりに集まりました。思い出を語り合う中で、私が「俺はあのときに憧れたハーレーに今、乗っているんだ」と打ち明けたところ、「俺も」「俺も」と全員が夢を叶えていたことを知ったのです。以来、ツーリング仲間となり、年に数回、遠出をするようになりました。
大事なのは企画より企画者の熱量
バンダイナムコフィルムワークスはガンダムシリーズやラブライブ!シリーズなどの人気作品をはじめ、50年にわたりアニメーションを中心とした映像作品を創出し続けてきた映像コンテンツ会社です。アニメーションはここ数年で大きく市場が拡大し、非常に変化の激しい業界です。4月に社長に就任してからも、日々様々な課題に直面していますが、親会社の社長からは「課題は解決できるヤツのところに集まるものだ」と励まされて、腹を括っています。
現在はオリジナルIPがヒットすることが以前にも増して容易ではありません。ただ、私はそれを逆にチャンスだと考えています。何が当たるかは誰にもわからない世界です。「絶対にヒットを生み出せる人」がいるのならぜひとも仲間に迎えたいところですが、そんな人はどこにもいません。ですから私が最後に見るのは企画そのものよりも、持ち込んだ本人がどれだけ強い思いを抱いているか。企画会議でほぼ全員が反対した企画が、一人のプロデューサーが何度も持ち込む姿に押されて、ゴーサインが出て、今では人気シリーズになっている作品もあります。誰も見たことも聞いたこともない作品だからこそ、人の心を動かせる。現場の社員には失敗を恐れず、挑戦し続けてほしいと思います。
もっとも、任せるからには条件があります。最後までやり抜くこと、途中で投げ出さないこと。本気で取り組んだ人なら、失敗すれば必ず悔しいはずです。悔しさこそが、次の一歩を生みます。仕事は一人でするものではありません。躓いても「次こそは」と励まし合える仲間を、一人でも多くつくってほしいのです。
明日は仲間と一泊の予定で日光へツーリングに出かけます。バイクに乗っていると、常に安全を意識する必要があるため、走行中は否応なく運転に集中します。仕事でどんなに気になることがあっても、無心になれる時間です。お気に入りの排気音に癒やされながら新たな英気を養ってきます。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2026年9月18日号)の一部を再編集したものです。
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