オーストラリアのアルバニージー首相が、5月に訪豪した高市早苗首相から贈られたクラウンメロンに関して、7月に出演したポッドキャスト番組内で性的な「胸のジョーク」にしたことが現地で大きな騒動になった。ジャーナリストの池田和加さんは「日本政府はこの件に関して静観し、抗議していない。友好国だからと国のトップである首相が侮辱されているのに無反応なのはいかがなものか」という――。

最高級メロンが「胸のジョーク」になった

2026年5月、高市早苗首相は訪豪の際、日本産農産物PRの意味で静岡産クラウンメロンを手土産にした。1月にオーストラリアが日本産メロンの輸入を解禁したことを踏まえた選択だった。

商談会で高級メロンの模型を手にする静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所の鈴木陽介経営戦略部長=2026年2月17日、オーストラリア・シドニー(共同)
写真提供=共同通信社
商談会で高級メロンの模型を手にする静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所の鈴木陽介経営戦略部長=2026年2月17日、オーストラリア・シドニー(共同)

7月3日公開のポッドキャスト「Bush Deep」に出演した豪アルバニージー首相はこの贈り物に関して「奇妙だったが、なかなかよかった」と振り返った。

司会の女性コメディアン、ニッキー・オズボーン氏が、両手で胸の前ですくうような仕草をしながら、首相に「(メロンを)密輸したの?」と尋ねる。

首相は胸のあたりで手を動かしながらこう答えた。

「彼女は2つ持ってきたよ。ねえ、普通(女性は)そうでしょ(She brought two. As you do.)」

メロンは英語の俗語スラングにおいて、女性の大きな胸を比喩的に表現する言葉として認知されているが、訪豪した高市首相をめぐる、この一連のやりとりに対して現地で「失礼・下品ではないか」と騒動になった。

だが、豪首相府は、オーストラリアン紙やヘラルド・サン紙などを傘下に持つ豪州最大級の新聞グループ、ニューズ・コープに、「その主張は誤りだ」と強く否定する声明を出した。

謝罪は「別の発言」についてだけだった

日本政府側からは何のリアクションもなかったが、8月に入り、山上信吾・元駐オーストラリア大使がオーストラリアン紙に寄せた論説で、この案件を取り上げたことをきっかけに騒動が再燃する。

まず、野党党首アンガス・テイラー氏が高市氏への直接謝罪を求めた。首相は国会で「質問の主張(謝罪請求)を拒否する」と述べ、こう続けた。「オーストラリアと日本はかつてないほど緊密で、戦略的に一致している」

「先の高市首相の訪問では、経済的威圧に直面した際に互いを支え合う決意を示す、経済安全保障協力に関する共同宣言を含む実質的な成果を発表した」