8月13日の、パラグアイ公式訪問前の記者会見で、秋篠宮さまが皇室典範改正について言及された。皇室研究家で神道学者の高森明勅さんは「今回の秋篠宮殿下のご発言は、養子案を拒絶された陛下のご姿勢に、『もっとも』『その通りだ』と全面的に賛同されたと理解するほかない」という――。
お祝いの旗を振る
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陛下のおことばに「その通り」

秋篠宮同妃両殿下は去る8月13日、パラグアイ公式訪問を前に、赤坂御用地の赤坂東邸にて記者会見に臨まれた。先ごろの皇室典範改正後、初めて皇族がお気持ちを表明される場となり、注目を集めた。この時の秋篠宮殿下のご発言は、インパクトのある内容だった。

天皇陛下は先ごろ、オランダ・ベルギーへのご歴訪に出発される前の記者会見(6月11日)で、大詰めを迎えた皇室典範改正をめぐる議論に対して、“異例の”ご発言をされた。陛下はそこで、「制度に関わる事項については、私から言及することは控えたいと思いますが」と断られながら、皇室典範改正をめぐる議論が「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と踏み込まれ、人々を驚かせた。

秋篠宮殿下はそのご発言について、「もっともだと、そのとおりだと私は思っています」と全面的に賛意を表されたのだ。

養子案を拒絶

普通に考えて、十分に「国民の理解が得られる」議論が予想される状況のもとであれば、憲法に「国政に関する権能を有しない」(第4条)と規定されているお立場の天皇陛下が、これまで言及を控えてこられた領域に、あえて立ち入るかのようなご発言をされることはないはずだ。だから、そこに特別なご意思やご意図を読み取るべきなのは、当然だろう。

しかも以前、小泉純一郎内閣に設けられた「皇室典範に関する有識者会議」の報告書(平成17年[2005年]11月)では、丁寧に検討した上で、いわゆる旧宮家系の民間男性を養子として皇族にする案は採用すべきでない、と一蹴していた。その理由の第一が、「“国民の理解”と支持を得ることは難しい」という点だった。これを偶然の一致と見ることはできない。

そもそも天皇陛下は、養子案に対して、かねて違和感を抱いておられた。

岸田文雄内閣に提出された有識者会議報告書(令和3年[2021年]12月)は、内親王・女王が婚姻後も引き続き皇族の身分を保持される案と、養子案を併記していた。この報告書について当時の西村泰彦宮内庁長官が天皇陛下にご説明申し上げた時、陛下は「養子案」に対してご懸念を漏らされていた。

そのご懸念は、「国民の理解は得られるのか」(『文藝春秋』7月号)「国民の理解が得られるのでしょうか」(「読売新聞」7月18日付)というものだった。まさに、天皇陛下の異例のご発言での表現と、ぴったり重なる。

表現の重なりを見れば、大きな反響を呼んだ記者会見での陛下のおことばは、養子案を“名指し”で拒絶されたに近い。そうであれば、今回の秋篠宮殿下のご発言は、養子案を拒絶された陛下のご姿勢に、「もっとも」「その通りだ」と全面的に賛同されたと理解するほかない。