プレジデント動画シリーズ「リーダーの器」。第13回はコーナン商事の疋田直太郎(ひきだ・なおたろう)社長です。無料会員登録で動画をご覧いただけます。ぜひご登録ください――。

開店式で待っていた“お叱り”

「お前んとこ、何ていう商品売ってるんや」

新店の開店式で、疋田直太郎さんは来店した客に激しく叱られました。

2013年、疋田さんは創業者である父の後を継ぎ、2代目社長に就きました。それまで22年間、副社長を務めていました。その約半年後、プライベートブランドの電気製品を、法的手続きを済ませず販売していたことが発覚します。80品目の自主回収に追われ、新聞でも大きく報じられました。開店式は、発覚から1週間も経たないころでした。

うつむいた疋田さんの目に入ったのは、客の靴。その上の作業服まで、全身がコーナンの商品でした。「怒られて当然ですけども、ここまで言われるかな」。そう思っていると、客は言いたいことを言い終え、こう続けたといいます。

「とにかく頑張れ。お前のところでしか商品買えへんねんから頑張れよ」

この日から、「お客さんが本当にためになるような商品を売っていかなあかんな」と考えるようになったといいます。いちばん厳しく叱ったのは、いちばんコーナンを必要としていた客だったのです。

2013年に創業者の父の後を継いだ、コーナン商事の疋田直太朗社長。
2013年に創業者の父の後を継いだ、コーナン商事の疋田直太朗社長。

「真似ばっかし」の会社が独自でつくった“宝物”

「真似ばっかししてたんですよね。建物の建て方から品揃えから」。疋田さんはコーナンの歩みをそう振り返ります。その中で独自につくり上げたのが、職人向けの「コーナンPRO」です。ホームセンター業界の競争が激化するなかで力を入れ、いまでは売上の約3分の1を占めるまでになったといいます。

売り場には「なかなか売れへんような商品も、ようけ置いてます」。職人に「こんな商品置いてるんか」と聞かれれば、「ほな、置きます」と応えてきた結果です。「商品に関しては、お客さんの方がプロですよね、毎日使われていますから」。職人に教わりながら長い時間をかけてつくった品揃えを、疋田さんは「宝物のように思う」と言います。「よそには絶対負けへんという自負はしています」。仕入れに社長が口を出すこともありません。「知らないのに、いろんなこと口出しても、必ずしもそれ、マイナスになるだけですよね」。