プレジデント動画シリーズ「リーダーの器」。第16回はローソンの竹増貞信社長です。無料会員登録で動画をご覧いただけます。ぜひご登録ください――。
「今のままではダメだね」
「ちょっとそれ、一回切ってみて」
30歳のころ、三菱商事で肉の営業をしていた竹増貞信さんは、部下が電話で商談していても、話の持っていき方が違うと思うと、こう言って電話を切らせていたといいます。営業の成績は悪くありませんでしたが、面談で上司にこう言われます。
「営業マンとしては非常によくやっているけれども、これから経営者になる、そういったことでは、今のままではダメだね」
部下は1人か2人。「1足す1が1.5にもなっていなかった」。自分のやり方をそのまま教えることが人材育成だと、勘違いしていたのです。
変わるきっかけは、書店で手に取った松下幸之助の本でした。人はそれぞれダイヤモンドの原石を持っていて、それを見つけて一緒に磨くのがリーダーの仕事だ――。そう書かれていたと、竹増さんは記憶しています。
「点取り屋ばっかりいても、サッカーが成り立たない」。自分と同じやり方を教え込むのではなく、一人ひとりが持つ原石を見つけ、一緒に磨く。人を育てる仕事の捉え方が変わりました。
「思いついた商品をそのまま出してみようよ」
社長になってから、商品開発でも似た話を聞きました。若手が企画を持っていくと、上司が「こうした方がいいんだよ」と手を入れる。次の上司も、その次も。部長には「昔やったことあるよ、失敗しちゃって」と言われ、本部長に届くころには、もとの企画とは似ても似つかない商品になっている。
竹増さんは、この流れを変えました。
「一回、思いついた商品をそのまま出してみようよ」上司の経験や知識は、企画を自分好みに直すためではなく、担当者が考えた商品をそのまま世に出すために使う。品質を確保し、原材料の調達や供給の仕組みを整える。そうして生まれたのが「バスチー」です。担当者はバスク地方まで食べに行き、研究して作り上げたといいます。

