封印された「女性天皇」
秋篠宮殿下は記者会見で、「いろいろと考えるところはありました」「いろいろと思うところは、もちろんあります。無かったらおかしい」と典範改正への違和感を、かなり露骨に示しておられた。その最大のご不満点は何だったか。
「国民の理解」というキーワードと、ご会見中に「(皇族の役割に)女性、男性の区別というのはない」と断言されていた点から考えると、国民の支持が高く、メディアの論調の中でもしばしば取り上げられていた「女性天皇」についての議論が、あらかじめ棚上げされていたことだろう。
現行の「男系男子」にこだわった典範改正後も、変わらず多くの国民が女性天皇に賛成している(各社の世論調査で7〜8割以上の賛成)。
こうした民意を顧みず、「女性天皇」というテーマ自体を封印した典範改正が「国民の理解」を得られるとは、とても考えられなかったはずだ。
男系男子であることより「寄り添っていくこと」
秋篠宮殿下はこのたびのご会見で、記者から「皇室典範の改正の議論で、男系男子ということがとても強調されたわけですけれども……皇室、そして皇族の皆さまにとって最も大事なことは何だと考えていらっしゃいますでしょうか」という直球の質問を受けられた。
これに対するお答えは、次のとおり。
本当に大事なのは男系男子ではない。“人々の気持ちに寄り添っていくこと”である――という答え方を、秋篠宮殿下はされている。
上皇陛下は以前、記者会見の場で女性天皇、女系天皇を認めると「皇室の伝統の一大転換となる」というネガティブな質問があった時(平成17年[2005年]の天皇誕生日に際しての記者会見)に、男系継承ではなく「国民と苦楽を共にする」在り方、その精神の受け継ぎこそが真の「皇室の伝統」である、と答えておられた。先の秋篠宮殿下のお答えは、それと同じ考え方に立たれている。
「男系男子限定」という構造的欠陥
そうしたお答えの前提として、精神性の重視と共に、「一夫一婦制」で少子化なのに伝統でもない男系男子限定という、今の皇室典範が抱える構造的な欠陥への危機感がある。長年、宮中で仕えた羽毛田信吾元宮内庁長官や渡邉允元侍従長らが口を揃えて、男系男子の危うさと女性・女系容認の必要性を唱えている背後には、もちろん皇室ご自身のお考えを見なければならない。
日本以外で唯一、一夫一婦制なのに無理な男系男子限定を維持していたリヒテンシュタイン公国(人口約4万人)も、性別に関係なく長子優先へと制度を変更した(共同通信8月16日配信など)。すでに同国の実権を委譲されているアロイス皇太子(公世子)が8月15日、「この改正により、公国と公爵家を担う責任を、その務めに向けて最もよく準備された人物にゆだねることを確実にしたい」と表明している。

