「年金」については、国の制度としてはいろいろな議論があるだろうが、自分の生き方に即して考えるのがいいと思う。年金制度が変わるのには時間がかかる。政策の議論は必要だが、まずは個人としてできることにフォーカスすべきだろう。

以下は、「脳科学者が教える、脳が活性化する“年金”のもらい方」である。読者のみなさまの考え方のヒントになればと思う。

「生き方」という意味で私がいつも「先生」として参考にしているのは、養老孟司さんである。お知り合いになってからもう随分長くなるけれども、ずっと「人生の師」としてその生き方にインスパイアされている。

養老先生からは、「年金」という言葉をついぞ聞いたことがない。おそらくもらっていらっしゃるのだとは思うけれども、生きるうえでの考え方のど真ん中にはないのだろう。

養老先生の場合、大学を定年前にお辞めになられたあとも、メディア出演や講演、執筆などで働き続けていらして、それなりに収入もおありになると推定される。会うとうかがうのは「虫」の話ばかりで、年金はもちろん、そもそもあまりお金の話をされるのを聞いたことがない。

ある意味では、養老先生の生き方は一つの理想なのだと思う。社会の中で求められていて、元気に仕事をしている。いろいろな方に会って、ご自身のするべきことをされている。夢中になることがあって、お金のことが第一ではない。

読者は、養老先生は特別な人だから参考にならないと思うかもしれない。もちろん、誰もが養老先生のように活躍できるわけではない。しかし、大いに見習うべき点はあると思う。

一番肝心なのは、養老先生は別にお金をもうけようとして活動しているのではないということである。いつも「面倒だなあ」とおっしゃっている。ただ、虫のことなど、ご自身が夢中になれることに取り組んでいらっしゃる中で、たまたま仕事になることがあって、そのような世間からの需要に応えていると、時々お金が入るというだけの話なのである。

読者の方々が年金をもらう立場になったときに、もちろんそれを基に生活を考えるのもよいが、加えて、何か興味のあること、夢中になれることがあったら、それに取り組むのもいい。多くのことは無償だったり、ボランティアのようなことになるかもしれないけれども、時にはお金をもらえることもあるだろう。評判がよければ、次第にそのような「仕事」も増えていくかもしれない。

一般に、定年後も年金だけで暮らすのではなく、何らかの方法でお金を稼いだほうが脳にいい。お金を稼ぐということは、つまり、それだけ社会との接点を増やすことになる。そのことで、脳が活性化して、アンチエイジングにもつながる。

(写真=iStock)

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