「脳機能の衰え」はビジネスパーソンにとって最も恐ろしい老化ではないだろうか。しかし、認知症診療医の広川慶裕医師は「脳の老化は必然ではなく、適切なケアをすれば防げる」と強調する。「脳を若返らせる5つの原則」とは。

40歳から始まる脳の老化そのメカニズムと正体

認知症は病気の進行とともに過去の記憶が徐々に失われ、やがて家族すら認識できなくなる恐ろしい病気です。しかし、認知症に至る前の「脳の老化」は、適切なケアをすれば予防できることがわかってきました。

脳の老化は細胞レベルから始まります。加齢とともに細胞内の水分量が減少すると、血液中の栄養を細胞に取り込む力が弱まり、栄養をエネルギーに変換する「TCAサイクル」という代謝経路の効率が悪くなるのです。この代謝機能の低下が始まるのは40代から。40歳時点の脳機能を100とすると、80歳では60程度にまでエネルギー産生量が低下するといわれています。

エネルギー産生量の減少は、脳の代謝全体を滞らせます。日中活動していると脳に老廃物が溜まるのですが、それを処理する効率が悪くなるため、アミロイドβやレビー小体などの異常タンパク質が蓄積していき、やがて認知症を引き起こします。そのため脳の老化を防ぐには、血流をよくして脳にエネルギーが入りやすい状態を保ち、TCAサイクルが円滑に回るようにすることが重要なのです。