病院は薬をもらう所と思っていたら危ない

体調を崩したり、体に不調をきたしたりして病院に行ったとき、もし医師が薬を処方せずに「しばらく様子を見ましょう」と言ったら、あなたはどう思うでしょうか。

たいていの患者さんはとても驚きます。それと同時に、大きな不安を覚えるようです。なかには、医師に「そんなことを言わずに、何か薬をください」とお願いする人がいるかもしれません。それほど、現代の医療では「病院に行ったら、薬をもらうのが当たり前」になっています。しかし、あくまでも薬は治療の補助的なものにすぎません。

私が院長を務める「松田医院 和漢堂」では、「薬やめる科」を設けています。ここでは、漢方をはじめとする代替療法を併用しながら、過剰な薬の服用に悩む患者さんの減薬をサポートしています。そして、患者さんに真の健康を取り戻していただくことを目指しています。

私たちは、すべての薬は「毒」であるということを認識しておかなければいけません。なぜなら、ほとんどの薬が自然界にも、私たちの体にも、もともと存在しない化合物であるからです。そもそも人間の生体に馴染むわけがありません。

しかし、救急や重症の場合、その毒がどうしても必要なときはあります。そのため、私はすべての薬を否定しているわけではないのです。たとえば緊急時、激しい痛みや苦痛を抑えるために薬が必要とされる場合があります。劇的な効果が得られることも多いので、そういうときは、むしろ、飲まなければいけません。

しかし慢性的な不調やちょっとした不調なら、わざわざ生体に馴染まない薬を長期間飲む必要はありません。薬は胃腸から吸収され全身に回ります。つまり薬の作用は目的の箇所だけでなく、全身の細胞に及ぶのです。それによって、別の不調が生まれる恐れがあるのです。

そういった薬の危険にさらされる可能性が最も高い方々、それは65歳以上の高齢者です。医療は内科、外科、整形外科、泌尿器科など専門の科にどんどん細分化されていきました。それにより、医療、医学が発展した一面は大いにありますが、この専門性こそが薬が増えてしまう大きな原因のひとつなのです。高齢者は同時に複数の科を受診していることが現実にはとても多い。すると、それぞれの医師がたくさん薬を処方していなくても、結果的に10種類以上の薬を服用することも珍しくないのです。

当然、薬の種類が増えれば増えるほど、副作用が起こる可能性は高まります。他の医師が出した薬の副作用を新たな疾患とカン違いして、別の薬が処方される。こういったことが日本の医療現場では日常茶飯事なのです。そして、薬の併用や飲み合わせによって、どんな害がもたらされるのか。実は、ほとんどわかっていません。

『ドクターズルール425』という、医師が心得るべき格言を集めた著書で知られるアメリカのクリフトン・K・ミーダー博士の言葉に次のようなものがあります。

「4種類以上の薬を飲んでいる患者についての比較対照試験は、これまで行われたことがない。3種類の薬を飲んでいる患者についての試験も、ほんのわずかしか行われたことがない。4種類以上の薬を飲んでいる患者は、医学の知識を超えた領域にいるのである」