毎日きちんと歯を磨いている……なのにむし歯になってしまうのは、「当たり前」だった! 歯を守り、健康を保つために本当にすべきことは何なのか? 世界最先端の歯科治療を学んだ医師が伝える、衝撃の真実。
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知れば必ず仰天する! 間違いだらけの「歯の常識」

口の中が酸性だとむし歯になりやすい

歯の健康を保つうえで、日本人が最も勘違いしていることの一つが、「甘いもの」に対する考え方です。糖分はむし歯菌にとって、格好のエサであることは間違いありませんが、「砂糖をたくさん摂るとむし歯になる」というのは間違っています。

私は以前、歯科医学の分野で世界的に有名なスウェーデンのイエテボリ大学を表敬訪問しました。教授たちと歯科医学に関する興味深い話をしたあと、皆でテーブルを囲んでお茶をしたのですが、テーブルに置かれたのは砂糖をたっぷり使った何種類ものケーキでした。私には目のくらむような量でしたが、ほかの教授たちを見ると、ニコニコ顔でケーキを平らげていました。

イエテボリ大学はスウェーデンの王立大学で、近年の世界大学ランキングにおいて歯学部門の1位を獲得した大学です。そんな歯学の権威ともいえる教授たちが、職場で砂糖をたっぷり使った甘いケーキを食べているのです。

日本人にとっては不思議に思う出来事かもしれませんが、むし歯のメカニズムを知ると、この教授たちの行動にも納得すると思います。

むし歯の原因は、口の中にいるむし歯菌が、糖と炭水化物をエサにして酸をつくり、この酸が歯を溶かしていくからです。歯が溶けるのは、口の中の水素イオン指数であるpH(ピーエイチ、ペーハー)が5.5以下になったときです。普段は口の中のpHは7で中性ですが、食事をすると酸性に傾きます。

そしてpHが5.5以下になると、酸が歯の表面を覆うエナメル質を溶かしていきます。pH5.5以下の状態が続くと、歯は酸によって溶け続けます。これを「脱灰だっかい」といいます。

ですが、食事をしてから時間が経つと唾液のはたらきによってpHは中性へ戻っていきます。pHが5.5より高くなると脱灰は止まり、溶けた部分が修復されていきます。これを「再石灰化」といい、再石灰化が適切に行われていれば歯はつねに元の状態に戻るので、むし歯にはなりません。ですが、pH5.5以下の状態が長く続くと、歯が溶け続けて修復が追いつかず、むし歯になっていくのです。つまり、甘いものはむし歯菌を活性化させますが、直接的な原因ではありません。口内のpHによってむし歯になりやすいかどうかが変わってくるのです。

むし歯予防で大事なのは、食べる内容よりも「食べる回数」です。後述しますが、食事の回数が増えることで、口内が酸性でいる時間が長くなり、むし歯になりやすくなります。

【図表】日本人が間違えて覚えている根拠のない「歯の常識」

本当に正しい歯のケアとは

むし歯予防といえば、多くの人が思い浮かべるのが歯磨きでしょう。むし歯になると「歯磨きをさぼったから」と後悔する人も少なくありません。しかし、むし歯になるのは、先述の通り口内のpHが5.5以下の状態が長く続いたときです。

実は歯磨きの目的は、むし歯予防というよりも、歯周病を予防することにあります。歯周病の原因は、歯の表面に付いたプラーク(歯垢)です。プラークはバイ菌の塊で、うがいや薬品では取れません。そのため歯ブラシで物理的に落とすしかないのです。一度プラークを落とせば、新たにプラークができるまで1〜2日ほどかかります。