歯を磨くよりももっと大事なこと
〈歯磨きのあとに口をゆすいではいけない…〉と題したプレジデントオンライン(2024・11・25配信)の記事を見て衝撃だった。しかも〈歯磨き時間は2分で十分〉ともあり、それにも驚く。これまで多くの歯科医に取材した経験があるが、「10分は磨きましょう」という指導が多いからだ。同記事の著者である歯科医の前田一義氏(前田歯科医院院長)に取材した。
「さまざまな考えの歯科医がいて、また患者さんの口の中の状態に応じても変わってきますが、僕は基本的に歯磨きは2分で十分だと思っています」
と前田氏。歯科予防先進国のスウェーデンにあるイエテボリ大学が考案した、歯磨き効果を最大限に引き出す「イエテボリ法」に基づく考えだ。
「当院を受診する患者さんの中で“磨きすぎ”の方は年代を問わず非常に多い。先日は1日3回、各20分間歯磨きをし、それぞれ歯ブラシの硬さまで変えているという女性患者さんがいらっしゃいました。そういう方は磨きすぎて歯が削れ、歯の根っこ近くにある象牙質が露出してしまう。下の歯なら歯茎が下がり、上の歯なら歯茎が上がり、象牙質の茶色の部分が削れてしまうんです。これを『くさび状欠損』といいます」(前田氏、以下同)
前田氏の隣に控えていた歯科衛生士もうなずきながら、「磨きすぎの方、いっぱいいます。歯の根元がえぐれているんです」と補足する。くさび状欠損になると、剥き出しになった象牙質には神経につながる無数の穴があいているため、知覚過敏になりやすい。
「欠損は合成樹脂で埋めて修復しますが、その治療が適切なやり方(ラバーダム治療等)でないことが多いためにそこから虫歯になったり、プラーク(歯垢)がたまりやすくなって口腔状態が悪化していく。僕には歯を壊しているようにも見えます。そのスタートは自分自身の磨きすぎなんです」
誰もが虫歯になりたくないから歯を磨く。でもそれでは虫歯を防げない、と前田氏は繰り返す(ちなみに氏の著書は『歯を磨いても、むし歯は防げない』である)。歯を磨くより「もっと大事なこと」を2つ挙げる。
「1つめは、歯を強くする『フッ素』の活用。フッ素配合の歯磨き粉(フッ素濃度が1500ppmに近いもの)を選び、歯ブラシに2センチメートルほど盛り付け、2分間ブラッシング。磨き終えたら、ペットボトルのキャップ1杯程度のわずかな水を口に含みます。フッ素を口の中に行き渡らせ、水と歯磨き粉を吐き出す。その後、最低30分以上(最大2時間くらいまで)飲食やうがいをしない。そうすることでフッ素が歯に定着するからです。朝食後と就寝前の1日2回行います」
これが前述したイエテボリ法の歯磨き。4つの「2」からなるため「2+2+2+2テクニック」と呼ばれている。
だが口をほとんどゆすがないとなると、口の中に食べかすが残ってしまうのではないか。私がそう質問すると、「食べかすと虫歯は関係ありません」と前田氏。
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