「暖かい部屋で寝る」が健康にいいという科学的理由

今現在、「室温」は何度だろうか。

寒い時期に室内を暖かく、具体的にはWHOが勧告する「18度以上」を保つと、生活習慣病リスクが低下し、脳機能を若く保て、睡眠の質が良くなるというエビデンスが多く得られている。

目を覚ました後、ベッドで伸びる女性
写真=iStock.com/oatawa
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しかし国土交通省が平均年齢57歳の住居2190戸を冬季に調査した結果、平均室温が居間約17度、寝室約13度。

居間では6割、寝室では9割の家が18度に達していなかった。日中暖かくなってきたこの時期も、夜間、特に寝室では18度を下回る家が少なくないのではないだろうか。

長年住居と健康について調査研究を続け、国内でも室温18度以上が健康に良いという根拠を示してきた慶應義塾大学名誉教授の伊香賀俊治氏が「室温と血圧の関係」を説明する。

「我々の調査で、室温が10度低下すると血圧が10mmHg程度上昇することがわかっています。起床時室温が『20度の家』では『10度の家』と比べて30歳男性で約4mmHg、30歳女性で約5mmHg、血圧が低く抑えられます。また冬の血圧が最も安定する室温は、男性では30歳が20度、80歳が25度、女性では30歳が22度、70歳が25度という結果です。年を取るほど、室内を暖かく保つことで血圧が安定し、病気を予防します」

この研究結果は米国心臓協会が監修する高血圧国際医学誌「Hypertension」に掲載されている。また高血圧治療ガイドラインによれば、血圧を低下させるため減塩や肥満の改善、運動、野菜の摂取、禁煙などが勧められているが、それらの生活習慣より室温のほうが血圧に与える影響は大きい(例えば非喫煙者より喫煙者のほうが3.1mmHg、飲酒しない人より毎日飲酒する人のほうが3.6mmHg、塩分摂取が多いと3.5mmHg、それぞれ血圧が高くなるといった具合だ)。大して影響しないから悪い生活習慣をしていいというのではなく、それにプラスして室内環境が悪い(寒い部屋にいる)と、高血圧症になるリスクが一層高まってしまうということ。

「血圧だけではありません」と、伊香賀氏が続ける。

「調査の中で健康診断を受けていただくと、18度未満の家に住む人は、心電図やコレステロール値に異常がみられる頻度が高いのです」(伊香賀氏)

【図表】寒い部屋では「コレステロール値」が高くなる