発熱効果はどのように生まれるのか

寒さが厳しい時期、どのような服装をしているだろうか。

科学的な“暖かい着方”がある。とりわけ最も皮膚に密着するインナー(肌着)の選び方が大切だ。七分袖や半袖、タンクトップなどさまざまな形状があるが、「冬は長袖がいい」と、東京家政大学家政学部の潮田ひとみ教授が説明する。

「被覆面積が広いほうが熱が逃げにくいですから、室温や活動量にもよりますが冬場は長袖がいいでしょう。そしてピッタリしたものよりは数ミリ程度のゆるみがあったほうが皮膚と服の間に空気層ができるため、暖かさが維持されます。肌着そのものも、厚ければ厚いほど寒さを防ぎます」

雪山を登山するグループ
写真=iStock.com/Georgijevic
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かつて肌着といえば天然素材の綿が主流だった。女性用肌着が“ババシャツ”と呼ばれていたように、長袖の肌着を身に着けるのはダボッとしていてかっこ悪いイメージがあった。それが2003年に出たユニクロの「ヒートテック」でイメージが変わった。各メーカーからも発熱効果をうたう薄手の肌着が次々に登場し、一大ブームに。けれども近年は再び、かつての生地が厚い商品や、裏地にモコモコがついている肌着を見かけるようになった。

信州大学名誉教授の三野たまき氏も、こう補足する。「暑かったら体表の熱をいかに外に出すか、反対に今のような寒い季節は、体の熱をいかに外に出さないか。繊維で織った布はほとんどが空気ですから、布が厚いということは、空気をたくさん身に纏っているということ。空気は熱伝導率が低く、断熱性が高いです。ですから生地に厚みがあるほど、外気を断ち切れるわけですね」

それでは発熱効果をうたう薄い肌着は、どのような仕組みなのか。これは繊維の“吸湿”機能と関係する。

衣類の繊維は大きく2種類――天然繊維(羊毛、綿、絹、麻)と、化学繊維(ポリエステル、ナイロン、アクリルなど)に分けられる。冬は夏場のように液体の汗をかきにくく、皮膚から水蒸気が出ているのだが、天然繊維は化学繊維よりもこの湿気を吸う力がある。繊維が湿気を吸収する際に、熱を発生する「吸湿発熱」という現象を利用して作られているという。

「ですから吸湿量が高い肌着ほど暖かく感じます。吸湿量を示す公定水分率では、羊毛(ウール)が15%。これは室温20度、湿度60%の環境に100グラムの羊毛を置いておくと15%まで水分を吸う、という意味です。そのほか高いものは、麻12%、レーヨンと絹11%、綿8.5%など。ポリエステル、アクリルなどの化学繊維は吸湿機能はほぼありません」(潮田教授)