「トリゴネリン」はエネルギーを作る補酵素のNAD+を増加させる
新しい年の始まりである今号では、ビジネスパーソンにとって身近な飲みものである「コーヒー」について取り上げたいと思う。最近新たに判明したコーヒーの健康効果、その効果を得るための飲み方、適正な摂取量などを解説する。
コーヒーというと「抗酸化成分が豊富な飲みもの」と紹介されることが多い。それも魅力なのだが、近年注目されるのは「トリゴネリン」という成分だ。長年コーヒーの研究を行い、“コーヒー博士”として知られる東京薬科大学名誉教授の岡希太郎氏がこう話す。
「エネルギーを作る補酵素のNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)に働きかけて病気を予防し、病気になってもひどくならないように体を守るものですが、残念ながら年とともに減少し、さまざまな老化現象に結びつきます。非常に簡単に述べますと、コーヒー豆に含まれるトリゴネリンはNAD+を増加させ、筋肉量と筋肉の力が回復することが2024年、学術誌『Nature Metabolism』に報告されました」
補酵素のNAD+は、「ナイアシン」または「ニコチン酸」として知られるビタミンB3から合成される(ナイアシンはビタミンB3に属する栄養素の一つ。日本ではビタミンB3という名称は使われていない)。それならコーヒーじゃなくても、ナイアシンを多く含む豚肉、かつお、レバーなどを食べればいいじゃないかと思ったあなたは素晴らしい。確かにナイアシンは食品にも含まれているし、体内でもトリプトファン(必須アミノ酸)から合成される。だからタンパク質を摂っていれば体内でナイアシンが不足する心配はないのだが、問題はそのような材料があっても、NAD+を生み出す力が加齢により低下するということだ。より正確には「NAD+の合成経路が限られてくる」(岡氏)という(私を含め文系の人間には何だかムズムズする話が続くが、もう少しお付き合いを)。
今、アンチエイジング業界では「NMNサプリ」や「NMN点滴」が大流行しているのをご存じだろうか。このNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)もビタミンB3から合成される物質で、このNMNをサプリや点滴で摂取すれば、体内でNAD+に変換されると考えられている。老化した細胞を修復し、細胞の若返り効果があると、どの美容クリニックも宣伝している。その真偽は、正直なところ私にはわからない。サプリ会社やクリニックによっても効果が異なるだろう。
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