過去最高益を更新しているのに、株価はピーク時から半減。「東京ディズニーリゾート」を運営するオリエンタルランドで、そんな“逆転現象”が起きている。なぜ好調な会社から投資家が離れているのか。淑徳大学経営学部の雨宮寛二教授は「稼ぐ力は極めて高いが、近年の経営方針が投資家の見方を変えた。2つの視点で説明できる」という――。
2009年8月29日、葛西臨海公園「ダイヤと花の大観覧車」からの眺め。東京ディズニーリゾート方向
2009年8月29日、葛西臨海公園「ダイヤと花の大観覧車」からの眺め。東京ディズニーリゾート方向(写真=掬茶/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

「利益を安定的に生み出す、優秀な稼ぎ手」だが…

オリエンタルランド(以下、OLC)の株価下落が止まらない。2024年1月に5765円の最高値をつけて以来、2026年2月には年初来の安値2637円をつけ、2分の1以下にまで下落している。

見過ごしてならないのは、OLCの足もとの収益性は依然として高いにもかかわらず、株価が下落し続けている点である。

OLCは、「稼ぐ力」「資本を使ううまさ」「キャッシュ創出力」のどれをとっても、成熟企業としては、極めて高い水準にある。

稼ぐ力では、2022年度以降、連結で、売上高、営業利益、純利益が順調に伸びており、営業利益率は25%前後と極めて高い水準を維持している。この水準は、製造業やサービス業を含めて見ても異例の高さである。

この背景には、「強力なブランド」「集客力の高さ」「競合がほぼ存在しない」「値上げが通る価格支配力」などの要因が存在し、これらの要因が複合的に効果を生み出すことにより、“混んでいなくても十分に儲かる構造”を作り出している。

資本を使ううまさでは、2022年度以降、自己資本利益率(ROE)が12%前後で推移し高い水準を維持している。ROEは、8~10%で安定した収益力と見なされることから、OLCが株主資本を使って、いかに効率よく利益を生み出しているかが分かる。

つまり、OLCは、借金に過度に頼らず、ブランド力と価格決定力で、高い利益を安定的に生み出す優秀な稼ぎ手であるのだ。

「ファンタジースプリングス」の巨額投資後も“黒字”

投下資本利益率(ROIC)で見ても、OLCの資本を使ううまさは抜きん出ている。コロナ禍(2020年度から2022年度)を除くと、ROICはこの10年間で10%以上を維持しており、2024年度は14.3%に達し最高値をたたき出している。

ROICは、事業に投下した資本に対する収益力の高さを表す指標であり、10%を超えれば優良と見なされることから、テーマパークという重資産ビジネスを展開しているOLCの投資回収能力は極めて高く、これまでの投資がきちんと報われてきたことを示す証左でもある。

キャッシュ創出力では、2024年6月に総投資額約3200億円をかけて「ファンタジースプリングス」を開業したにもかかわらず、営業キャッシュフローは安定して黒字を維持している。

これは、OLCが、テーマパーク事業で得た利益を原資に、新たにアトラクションを導入したりエリアを拡張したりするという“再投資サイクル”が確立されていることを意味する。この再投資サイクルが上手く循環することにより、成長投資が可能となる。

それではなぜ、このようにOLCの収益性が依然として高いにもかかわらず、株価が下落し続けているのか。

株価下落の要因は言うまでもなく、投資家がOLCへの株式投資をネガティブと捉えているからであるが、それではネガティブとされる要因は何か。それは、以下の2つの視点で考えることができる。