視点① ゲスト数が構造的に伸びない

1つ目の視点は、「来園ゲスト数が構造的に伸びない」ことである。

年間来園ゲスト数は、ディズニーランドが開園した1983年に993万人を集客し、以来、年々増加し、2000万人超えを果たしたのは2001年(2204万)で、2013年には初めて3000万人を超え、2018年に3255万人で過去最高を記録したものの、以降は減少傾向にあり、2000万人台で推移している。

つまり、年間来園ゲスト数は2018年をピークに、上方向への更新が起きていないというのが実態である。これは、一時的に落ちたのではなく、構造的な上限が見えたことを意味する。

それではなぜ、来園ゲスト数が構造的に伸びないのか。まず、考えられるのは、キャパシティの制約である。現状から1日あたりの入園可能人数を約8~9万人程度とすると、年間最大稼働(365日)でも、3300~3400万人が理論的上限となる。

しかし、OLCは近年、混雑は満足度低下につながり、待ち時間の増加はブランド毀損につながると位置付け、満員運営を明確に避ける方針に転換している。つまり、「キャパシティの上限×稼働率」を意図的に抑えていると考えられる。

2017年8月2日、オリエンタルランド本社
2017年8月2日、オリエンタルランド本社(写真=Wikimizuki/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

「客単価」を上昇させる方針

次に考えられるのは、国内需要の成熟である。日本の人口はすでに減少局面に転じ、首都圏在住比率が高く、一度も行ったことがない層は減少しつつある。つまり、潜在新規客の母数が毎年縮小する中で来園ゲスト数を増やすには、既存客の回転数(リピーター頻度)を上げるしかないということになる。

では、人数が伸びない分、OLCはどこで稼いでいるのか。OLCは近年「客単価」を上昇させる方針に舵を切っている。

客単価、すなわち、「ゲスト1人あたりの売上(飲食販売収入+商品販売収入+チケット収入)」は、OLCが統計を取り始めた1996年に9429円を計上し、以降は緩やかに上昇し、2010年には1万22円で初めて1万円を超え、その後、2018年には1万1815円とそれまでの最高値を記録するが、2020年の1万3642円を嚆矢に2024年には1万7832円と、この6年間で、1.5倍も上昇している。

ゲスト1人あたりの売上において、特に上昇しているのはチケット収入で、1デーパスポート(大人1名)で見れば、1996年の5100円が、今では、7900円~1万900円と大幅に値上げされている。

料金に幅があるのは、2021年3月から導入したダイナミック・プライシング(価格変動制)のためである。ダイナミック・プライシングは、混雑緩和を目的とし、時期や曜日により価格を変動させるシステムを取る。