※本稿は、宮崎正弘『地獄の中国』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
中国が高市首相に怒り狂うワケ
日本の中国分析には重大で、本質的な視点が欠けている。最も大事なことを見逃しているのだ。中国は軍事ですべてが動く国であること、それが中国政治の本質という真理を現在の平和惚けの日本人は忘れている。
高市早苗政権誕生以後、日中関係は冷戦状態となった。中国がこのような状況をつくり出したのだ。
何事もうまくいかないとき、拳を挙げてぶったたくサンドバックの代わりが欲しい。歴代日本の首相は中国に拝跪して朝貢してきた。それがこともあろうに中国の「レッドラインを越えたらひどいことになるゾ」という脅しを平然と撥ねのけ、「台湾有事は日本有事」、つまり「存立危機事態」だと女性宰相が言ってのけたのだ。
中国の皇帝を前にして「『倭王の摂政』ごとき」が主従関係をひっくり返した図式になる。こういう歴史感覚がわからないと中国の横暴さ、度を越した日本攻撃は理解できないだろう。
習近平の周囲で生じる異変
あたかも聖徳太子が遣隋使へ持たせた書簡に「日没するところの天子へ」と居丈高に言い切れたのは、隋の煬帝が高句麗との戦争に連敗し、政治が疲弊している隙を突けるという冷静な情勢判断があったからだ。これは現在の状況に酷似する。
「習近平は今それどころではない」という中国の内部事情を高市政権が掌握できていたからこそ、このタイミングを狙えた。周到な準備と情報の交換がトランプ大統領との間にあったと考えるべきだろう。
中国の言う「レッドライン」とは「台湾」と「歴史認識」である。この一線を越えると「ひどいことになる」と王毅外相は習近平の顔色を見ながら日本を脅迫した。対外的に強硬な姿勢を演出するとき、中国内部では深刻で、非常にまずい事態が進行している。
第一は経済不況である。不動産バブルの惨状についてはすでにその惨状は述べてきた。第二は共産党の宣伝機関が習をからかい始めていることだ。
例えば『人民日報』は「習近平」を「習近乎」と書いて、「あれは誤植だった」と言ってのけ、そればかりか「最高指導者」を「最後の指導者」と書いた。
「習近平が発表した」と書くべき箇所を「発狂した」と書いた。
『人民日報』を毎日「愛読している」チャイナ・ウォッチャーたちは気がついたのだ。「なにかとてつもない異変が起きているのでは?」と。

